孔鉉佑駐日大使,国際アジア共同体学会シンポジウムに出席・講演
2021/08/04

 7月30日、孔鉉佑駐日大使が国際アジア共同体学会(ISAC)シンポジウムに招かれ、「世界の大変化におけるアジア協力と中日関係」と題する講演を行った。鳩山由紀夫元首相、進藤榮一国際アジア共同体学会会長、西原春夫元早稲田大学総長および東京大学、慶応大学、横浜国立大学など有名大学とシンクタンクの専門家・学者、メディア関係者計250人がオンラインとリアル会場のハイブリッド形式で出席した。

 孔大使は次のように表明した。世界の大変化は人類が苦楽を共にする運命共同体であることをたえず裏づけており、われわれはこれまでのいかなる時よりも連帯・協力することが必要だ。習近平主席は中国共産党創立100周年祝賀大会での演説で、中国は終始変わらず人類運命共同体の構築を推進すると厳かに宣言した。われわれは、人類運命共同体構築の基礎と起点はアジアにあると考えている。冷戦終結から今日まで、アジアが数十年の平和を維持し、飛躍的発展を実現できた重要な原因は、イデオロギーと国益の違いを克服し、互いに尊重し信頼する共存の道を堅持し、開放され融合する発展の道を堅持し、多国間主義の協力の道を堅持し、同舟相救う互助の道を堅持し、対話・協力・模索を通じて融和・共生を実現したことにほかならない。この歴史的経験はいま、とりわけ貴重であり、固く守るべきである。

 孔大使は次のように表明した。中日は共にアジアの重要な国であり、アジアの平和・安定と繁栄・振興の維持に特別な責任を負っている。中日関係の健全で安定した発展を保つことは、両国の根本的利益に合致し、地域諸国の共通の期待でもある。目下、中日関係は複雑な状況に直面し、どこへ行くのかという重要な岐路に立たされている。中国は終始、善意と誠意にのっとって対日関係を発展させており、日本が安定した対中関係発展という前向きの態度表明を実際の行動に移し、具体的政策で現すよう希望している。中日関係の真の安定を実現するため、双方はいくつかの重要な問題をうまく解決しなければならない。

 第一、中国は果たして日本の脅威なのか。日本の一部の人は中国の発展を挑戦〈試練〉や脅威として描き、イデオロギー上の偏見と曲解・誤判断を基に、嫌中・反中感情をあおっている。われわれはこれらの声の拡大を放置してはならない。中日関係が急速な発展をとげていること、そして両国人民に一大利益をもたらしていることは誰にも否定できない。このように利益が深く一致し、往来が密接な二つの国が友人やパートナーにならない理由がどこにあるのか。互いに協力パートナーであり、互いに脅威とならないことは、つとに双方の政治的共通認識である。中国は引き続き日本と共にこの重要な共通認識を実行することを願っており、日本が正しい対中認識を持ち、中国の発展を客観的・理性的にとらえ、一層前向きな対中政策をとるよう希望する。

 第二、中日は競争すべきかそれとも協力すべきか。われわれは競争をなくすことはできず、競争を排斥する必要もないが、競争は公平な競争、開かれた競争、相互に促進し互いの成果となるよい方向への競争でなければならない。われわれは中日の競争・対抗をわざと吹聴し、はては経済・貿易問題を政治化し、双方の互恵協力を阻害・破壊するようなことに警戒する必要がある。最近、日本国内の一部の人が「経済安全保障」の概念を拡大し、米国と呼応して中国のハイテク企業を締めつけ、中国に対する「供給遮断」「切り離し(デカップリング)」「脱中国化」を進めるよう主張している。これは自信のある、開かれた心理状態ではなく、日本が長い間堅持してきた市場経済と自由貿易の原則にも反するものだ。双方は協力という主旋律をしっかりつかみ、協力の中で共通の利益を広げ続け、互恵・ウィンウィンを実現すべきである。

 第三、中日は矛盾と意見の相違をどう処理すべきか。中日は隣国であり、矛盾や意見の相違が存在するのは正常なことだ。大事なのはこれを適切に管理し、これらの問題がひどくなり際立って、両国関係の大局を乱すのを防止することである。国交正常化以降、中日の四つの政治文書は台湾問題を含む重大な問題を処理するためのきまりをつくり、相互内政不干渉などの重要な原則を確認した。近年、双方は海洋関連など敏感な問題を適切に処理することについて新たな重要な共通認識を得た。歴史は、これらのきまりと原則に確実にしたがって事を運びさえすれば、中日関係は長期安定が可能で、そうでなければ面倒が起きることを証明している。このところ、台湾、新疆、香港をめぐる日本の後ろ向きの動きが際立ち、中日関係の重大な妨害要因となっている。日本が中国の隣国として、約束を確実に守り、中国の内政を尊重する最低限の姿勢を示し、中国の核心的利益を損なうことをやめ、中日関係がより大きく損なわれるのを避けるよう希望する。

 第四、中日はどのような責任を担うべきか。双方は国際的責任を積極的に果たし、共同で地域と世界の発展にしかるべき貢献をすべきだ。これは両国の指導者が繰り返し確認している政治的共通認識であり、新時代の中日関係の構築においては当然のことだ。一部の人が少数の国が定めたいわゆるルールを受け入れるよう一方的に要求し、受け入れなければ中国に無責任のレッテルを張ることを、われわれは受け入れられない。多国間分野は、中日が争うリングになるべきでなく、協力の舞台になるべきである。日本が精力と資源を意味のない消耗戦に費やすことなく、一層開けた視野と広い度量で、中国と提携協力し、責任感を示し、地域諸国と国際社会の期待に積極的に応えるよう希望する。

 第五、中米のゲーム下で、日本はどんな選択をすべきか。日本は中国の隣国、米国の同盟国であり、中国、米国との関係をうまく処理しなければならないのは、日本にとって回避できない地政学上の現実であり、日本の英知と先見性にとっての試練でもある。中国はこれまで日本に中米のどちらかの側に立つよう求めたことはなく、日本が米国と正常な国家関係を発展させるのに干渉したことはない。しかし日米同盟も中国の利益を損なってはならない。対米関係は必ずしも日本外交のすべてではなく、日米間には同盟条約があるが、中日間にも平和友好条約があり、日本は同じく条約履行の義務を負っている。日本が戦略的自主性を維持し、対中、対米関係をバランスよく適切に処理し、中米日関係のよい方向への相互作用〈インタラクション〉を図るために建設的な役割を果たすよう希望する。

 孔氏は次のように表明した。来年、中日国交正常化50周年を迎える。50周年は里程標でもあり、また新たな起点でもある。双方は中日国交正常化の初心に立ち返り、中日関係の過去半世紀の風雨〈試練と苦難〉の歩みを回顧、総括し、経験・教訓を十分にくみ取るようにすべきだ。これを基礎に、一層堅固かつ強靱(きょうじん)で成熟し、しっかりした中日関係を築き、よりよく両国人民に幸福をもたらし、地域と世界に恩恵を及ぼすようにすべきだ。

                

 出席した来賓と専門家・学者は中日関係、地域協力などの問題について掘りさげた討議を行った。そして、当面、中米のゲーム激化を背景に、日本は単純に中米のどちらかの側に立つのを避けるべきだ、中米の対抗防止のため戦略的な役割を果たすべきだ、同時に「一帯一路」協力に積極的に参加し、地域的包括的経済連携(RCEP)などのメカニズムを使って地域統合のプロセスを推し進めるべきだとの見方を示した。出席した学者はまた発言で、数字と事実を挙げて、米国など西側諸国の新疆関連問題でのウソを批判した。