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程永華大使の名古屋での講演
(2012年2月9日)
2012/02/17
 

 再び名古屋を訪れ、愛知県日中友好協会、東海日中貿易センターおよび東海日中関係学会の新旧友人の皆さんと一堂に会することができたことを喜んでおります。

 過ぎたばかりの2011年は尋常でない年でした。日本は3月11日の大震災に見舞われ、大きな人的、物的被害を受け、社会・経済の発展で厳しい試練を受けました。困難を前にして、日本人民は非凡な忍耐力と粘り強い奮闘精神を示しました。日本全国の各界が3月11日の大震災とたたかっている困難な時に、中国の政府と各界は震災をわがことのように思い、すぐに援助の手を差し伸べました。そして2008年に中国四川の汶川大地震の発生後、日本の政府と各界が中国の被災地を温かく支援した感動的場面が思い起こされました。中国に「患難に真情を見る」〈まさかの友こそ真の友〉ということわざがありますが、まさに双方が苦しい時に互いに見守って助け合い、中日の末永い友好の重要な意義を深く理解させました。

 昨年、私は被災地に5回入り、宮城、岩手、福島などを回りましたが、現地を訪れる度に、災害の深刻さと震災復興の積極的な進展ぶりをみることができました。あの災害からまもなく1年になりますが、私たちは日本人民が必ず困難を乗り越えて、一日も早く郷土を再建できるように祈り、またそうできると信じています。中国政府と人民も引き続きできる限りお手伝いをしたいと考えています。また中国政府は2月20日、日本震災復興支援貿易投資促進団を東京、仙台などに派遣し、視察するとともに、次の段階の協力の可能性を探ります。

 本日の講演の題目は、「中国の発展と中日関係」で、内容は大きく二つに分かれています。

 一、中国経済の最新情勢

 中国経済は昨年も引き続き、安定した比較的速い発展を維持し、第12次5カ年計画(2011~15年)期の経済・社会発展の好スタートを切りました。年間の国民総生産(GDP)は47兆元(7兆㌦近く)を超え、前年に比べ9・2%伸びました。経済成長をけん引する「トロイカ」の投資、消費、輸出入がいずれも大幅な伸びを続けました。固定資産投資は23・8%増の30兆元、社会的消費財小売総額は17・1%増の18兆元で、対外貿易総額は3・6兆㌦を超え、前年より23%増えました。

 昨年の中国経済の著しい特色は、GDPの伸び率が四半期毎に下がったことでした。前年同期に比べ、第1四半期が9・7%増、第2四半期が9・5%増、第3四半期が9・1%増、第4四半期が8・9%増でした。中国経済が「下り坂」をたどり始めたことを示すものではないかと心配する向きもあり、一部の学者は「中国経済崩壊論」さえ唱えました。私は、目下の中国経済のすう勢を客観的、理性的に分析すべきだと考えます。

 まず、経済成長率が落ちたのは、中国政府の能動的なコントロールの結果です。中長期的にみると、「12・5」計画で決まった目標は7%で、中国政府は以前「スピード」を強調していたのから、「構造調整」の一層の重視、経済発展の質の重視へ舵を切っています。昨年の経済状況をみると、中国政府は物価の抑制をマクロコントロールで一番重要な位置にすえており、そこで相応のマクロコントロール措置を講じました。金融政策の引き締め、不動産融資の引き締めなどです。これらの措置の効果が現れるのに伴い、経済の成長率も当然ながら下がりました。

 次に、外部環境の不安定が中国経済に影響を与えました。08年の金融危機の影響はなお燻り続け、欧州の債務危機の広がり、自然災害の多発などが世界の経済成長の鈍化を招き、国際貿易の伸びが低下、国際金融市場が混乱し、外需の伸びが弱くなりました。昨年第4四半期、中国の家電業界のエアコン、冷蔵庫・冷蔵ケース、洗濯機、電子レンジの4大商品の輸出数は前年同期に比べて40%から20%のマイナスになり、輸出への重圧が増大しました。

 第三に、中国のGDPはすでに十数年9%以上の高い伸びを続け、目下、中国の経済発展は新たな段階に入っており、伸び率が適当に下がるのは正常な現象でもあります。専門家は、中国の国民経済の伸びが8・5―9%の間に維持でき、物価が比較的よく抑制され、成長パターンが速く転換され、構造調整の度合いがたえず強まるならば、比較的理想的なマクロ経済の全体的枠組みになるとみています。

 ある専門家は、GDPの伸び率が四半期毎に下がる傾向はさらに今年上半期まで続き、第1四半期は8・5%に下がり、第2四半期はもう少し低いかもしれないが、現在のところ、「ハードランディング」が起きる危険性はないと分析しています。中国経済の安定した発展のための基本的要因は変わってはいないからです。

 第一に内需をみると、中国はいま工業化と都市化が急速に進む時期にあり、消費市場の規模は拡大を続けています。昨年1年間の社会的消費財小売総額は2・9兆㌦を超えました。このほど終わった春節の連休中、中国の市場は売買共に盛んでした。大晦日から正月6日まで、重点小売・飲食企業の売上高は4700億元(約746億㌦)に達し、2011年の春節より16・2%伸びました。今後5年間、中国は都市化(町を含む)を加速し、都市化率を47・5%から51・5%に引き上げることにしており、国内市場の規模は一段と拡大するでしょう。

 第二に供給をみると、長期間不足していた資金がすでに比較的豊富になっており、労働力資源の優位性はもうしばらく続くでしょう。この2年間、企業の人件費はいくらか上昇していますが、中国の賃金の全体的水準はなお比較的低いところにあり、特に中・西部地区の労働力コストは比較優位がめだっています。昨年、私は帰国して長江地域を視察した際、この点を強く感じました。

 第三に投資をみると、投資は依然として中国の経済発展の最も重要な原動力です。しかし投資構造の調整に伴い、不動産業などの固定資産投資は大幅に減少し、代わって中央政府が農地水利、低所得者向け住宅、省エネ・環境保護など新興産業などの投資を増やしています。このことにより中国経済のタイプ転換と高度化が強くけん引されるでしょう。

 今年は中国の「12・5」計画期の前から後へとつなぐ重要な年です。中国政府は当面の内外情勢を科学的に分析したうえで、今年の経済運営の全体的方針を定めました。「安定の中で前進を図る」です。「安定」とは、マクロ経済政策の基本的安定を維持し、経済の安定した比較的速い発展を維持し、物価総水準の基本的安定を維持し、社会の大局の安定を維持することです。「前進」とは、経済発展パターンの転換で進展を収め、改革・開放の深化で新たな突破をはかり、民生改善で新たな成果を収めることです。中国の経済成長率の反落は試練をもたらすとともに、チャンスをも孕んでおり、成長率が下がったことで、より多くの精力と原動力を割いて経済構造を調整し、発展の質を最適化し、中国経済を引き続き健全で安定した軌道に沿って前進させられるようになっています。

 二、中日関係について

 2011年は中日関係にとって記憶すべき年です。それはいくつかの言葉でまとめられます。第一に「船舶衝突」事件後、相対的に困難な条件下でスタートしました。第二に大きな自然災害に共同でたたかうなかで、互いに助け合い、共に難局を乗り越え、中日関係を再び安定した発展の軌道に戻しました。第三に野田首相の訪中が成功し、両国の指導者が政治、経済、文化各分野で幅広い共通認識を得て、中日関係で新たな発展を収めることによって、有終の美を飾りました。

 今年は中日国交正常化40周年にあたり、両国関係史上重要な年です。最近、私は各界の皆さまから、中日関係40年の歩みで総括すべきどのような教訓と教えがあったのかとよく質問されます。いくつかの面から私なりの感想を述べてみようと思います。

 一つ目は両国がつねに末永い友好という大きな方向を堅持することです。中日国交が正常化された時、郭沫若氏は「中日間には2000年の友好と50年の干戈があった」と言われましたが、これは中日関係の歴史を高度に、巨視的に、そしてギュッと縮めて概括したものです。中国と日本は互いに隣国で、引っ越すことのできないお隣同士です。隣人の道は「睦まじさ」と「友愛」にあります。日本の遣唐使、遣隋使から、両国は大規模な交流を始めました。この2千年、こうした交流は両国の政治、経済、文化、社会に積極的な影響を与えました。むろん、この間には、日本の中国侵略という不幸な歴史もあり、両国人民に大きな災難をもたらしました。このような歴史は、両国が「和すれば共に利し、闘えば共に傷つく」ことを教えています。

 二つ目は両国が常に相手を正しくみるということです。近年、両国の力関係に多少の変化が起きましたが、私たちはあくまでも自身の根本的利益を守り、地域の共同の繁栄をはかることから出発して、相手の発展を前向きに、肯定的にみるべきです。2008年、胡錦涛主席が訪日した際、両国は4番目の政治文書を発表し、「中日が互いに協力パートナーになり、相手の平和的発展を相互に支持する」と明確に指摘しました。この政治的共通認識は、冷戦思考とゼロサム思考を脱し、互恵・ウィンウィンを求める双方の基本的政策の方向を現しており、両国関係の基本的指導思想となりました。昨年末、野田首相は訪中の際、「中国の発展は日本を含む国際社会にとってチャンスである」と表明、中国の指導者は「中日がよき隣人、よきパートナー」となることを強調しました。これは新しい時代の両国首脳による重要な政治的共通認識であり、両国関係の改善で着実な成果が得られたことの現れでもあります。

 三つ目は両国が実務協力をたえず深めるということです。実務協力は常に中日関係を構成する重要な部分で、両国関係につきることのない推進力を与え、両国人民に目に見える、実際的な利益をもたらしてきました。中国の改革・開放後30余年間、日本は資金・技術など諸々の分野で貴重な支援を与え、中国の近代化を支援しました。同時に、中国の発展は日本にも重要なチャンスを与え、日本経済の回復と成長を促しました。1972年の国交回復時、双方の貿易額は10億㌦にすぎませんでしたが、昨年の貿易額は3429億㌦に達し、前の年より15%伸びました。日本の対中投資は依然として拡大を続け、投資の構造も変化しています。中国企業の対日投資は規模こそ大きくないが、積極的な動きをみせています。これは日本が大きな災害に見舞われ、世界経済の低迷が続いている困難な条件下で実現されたもので、双方がすでに相互依存の協力関係を本当に形成したことをよく示しています。

 四つ目は両国が民間交流を強化するということです。民間交流は中日関係の一つの強みと伝統であります。特に国交正常化前の困難な時期、両国の民間友好は特殊なルートと紐帯の役割を果たしました。40年来、両国の各分野の交流はたえず拡大してきましたが、民間交流の役割は依然として軽視することができず、今後も大いに推進し、拡大していくべきです。国交正常化以来、中部地方の各界は両国の地方交流の推進、民間友好の発展で常に先頭を歩み、重要な役割を果たし、重要な貢献をされました。このことを高く評価したいと思います。

 五つ目は両国が敏感な問題を慎重かつ適切に処理するということです。隣人の間でいざこざが起きるのは避けがたく、中日両国間に問題が生じるのは不思議ではありません。大事なのはこれらの問題が中日関係の一つの面にすぎず、すべてではないことを知ることです。処理の過程では、つねに中日間の四つの政治文書の精神にのっとり、大局的見地から、対話と協議を通じて適切な解決をはかるよう努力すべきで、個別の問題によって両国関係の全体的発展に影響が出てはいけません。

 国交正常化後40年間、両国の各分野の協力と交流は急速な発展をとげましたが、これらの成果は双方の各界の数世代の人々が心血を注いだたまもので、苦労して得られたものであり、私たちが大いに大切にすべきものです。いま、両国関係には、政治・安全保障面の相互信頼が足りず、両国国民のお互いに対する好感度が比較的低いといった不利な要因も存在しています。昨年の野田首相の訪中時、両国の指導者は「根気強く両国人民の相互理解と友好的感情を増進する」ことを繰り返し強調するとともに、今年の国交正常化40周年記念を契機に、「国民交流友好年」活動を繰り広げることで一致しました。両国政府と関係省庁はすでに一連の記念、祝賀行事を企画しており、今月16日、「国民交流友好年」の日本側開幕式が北京で催され、日本政府、経済界および友好団体がそれぞれ代表団を派遣することになっています。中国側も、できるだけ早く東京で中国側開幕式を行うため積極的に準備中です。今年前半だけで、中国から六つの省の省長が大型代表団を率いて日本を訪問することが決まっています。

 いま、両国の一般市民が観光旅行、投資起業、留学・研修などさまざまな方法を通して、双方向、直接交流の新たな枠組みを次第に形成しています。すでに「中日国民大交流」時代の幕開けです。今年の一連の活動を通じて、両国の政治、経済、文化、教育、地方、友好都市、メディア、青少年など各分野の交流が一段と深まり、両国人民の相互理解と友好的感情が着実に増進され、中日関係を発展させる友好的協力の雰囲気が強まり、世論の面で両国関係の持続的改善と発展のための客観的友好的な環境が整えられるよう希望しています。

 中部地方と中国の交流は遠い昔に遡ります。ここは日本の製造業の中心で、産業基盤が厚く、中国との経済・貿易分野の協力のスタートが早く、収益が大きく、分野が広く、見通しも明るいものです。昨年末、私は業務報告と休暇のため帰国した際、長春一汽豊田公司の新工場を訪ね、双方の協力の成果を大変嬉しく思いました。愛知県はピンポン外交の発祥地で、対中友好の基礎が厚く、毎年ここで開かれる「名古屋中国春節祭」は地元の幅広い支援と積極的参加を得て、両国友好の新たな架け橋になっています。中部地方の各界が引き続き伝統を守り、強みを生かし、国交正常化40周年という機会を利用して、人文〈人と文化〉、観光、友好都市分野の交流を一段と促進し、中日の戦略的互恵関係の健全で安定した発展に新たな貢献をされるよう期待しております。

 ご静聴ありがとうございました。

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