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辛亥革命百年とアジア復興
―シンポジウム「辛亥革命とアジア」での程永華大使の講演
2011/12/04
 

(2011年11月5日神奈川大学)

 友人の皆さん:

 今年はちょうど辛亥革命百周年で、辛亥革命は中国の近代史における時代を画す偉業であり、またアジアで初めて民主共和の旗を掲げ、アジアの政治的覚醒と歴史的進歩を促す重要な役割を果たしました。日本の神奈川大学と中国の清華大学、中国歴史学会が共催するシンポジウム「辛亥革命とアジア」はアジアの視点から辛亥革命を見つめ、考えるうえで重要な意義があります。ここに駐日中国大使館を代表し、また私個人として、シンポジウムの開催に祝意を表し、その成功を心よりお祈り申し上げます。

 友人の皆さん:

 百年前、孫中山先生を代表とする中国革命党員が世界を震撼させた辛亥革命を起こし、清王朝の支配を覆し、数千年続いた中国の専制君主制に終止符を打ち、世界を揺るがす大きな力と深い影響力で近代中国の社会変革を推進しました。

 古来、アジア諸国は密接不可分の運命共同体で、近代中国の革命の歴史も同様にアジアと緊密に関係しています。辛亥革命はアジアの民族解放と民主革命の潮流の重要な1ページであり、アジアの政治の方向に深い影響を与えました。

 まず、辛亥革命はアジアの有識者の支援と切り離せません。日本は孫中山先生の革命活動の重要な舞台で、宮崎滔天、梅屋庄吉ら多くの日本の友人が力を傾け、支援しました。在日華僑と留学生は資金面、組織面、思想面で積極的に呼応し、孫中山先生の革命事業に全力で参画し、支援しました。1905年に中国同盟会が東京で設立された際、同盟会会員の9割は在日の留学生でした。革命派と改良派の有名な論戦も東京で創刊された新聞「民報」と「新民叢報」の紙上で繰り広げられました。東南アジア(当時は「南洋」と呼ばれていた)の華僑も辛亥革命の重要な支持勢力であり、革命資金の主要な提供者でありました。統計によると、辛亥の1年だけで、南洋華僑の寄付は5~600万銀という巨額に上っています。「庇能会議」(ペナン会議、同盟会の秘密会議)の現存する記録では、黄花崗の烈士墓には多くの南洋華僑の英霊が眠っています。

 次に、辛亥革命はアジアの民族解放と民主革命を力強く促しました。1907年春、中印両国の志士が東京で「アジア和親会」、別名「東亜亡国同盟会」を設立し、アジアの各民族解放闘争の相互支援を模索しました。孫中山先生はベトナムの革命の志士ファン・ボイ・チャウに会ってこう言いました。「中国の革命が成功したあかつきには、アジアの被保護各国の同時独立を全力で支援する」。フィリピン、インドネシア、ミャンマー、シャム(現タイ)、ベトナムなど東南アジア各国はみな辛亥革命の影響を受け、民族解放運動が起こりました。韓国の独立運動の指導者は革命党員と深く付き合い、独立運動を指導した「大韓民国」臨時政府は1919年に上海のフランス租界に樹立されました。

 第三に、辛亥革命はアジア主義の理想を一層呼び起こしました。1897年、孫中山は宮崎滔天と大アジア主義について話し合った際、自らの革命は「アジア黄色人種のため、そして世界の人類のため」であると明言しました。孫中山先生は生前最後となった神戸での「大アジア主義」についての講演の中で次のように強調しました。アジアはこの数百年来衰退してきたが、厄運極まれば幸運めぐり来る、物事極まれば必ず反転する。アジアの衰退は極限まできて、転機が生まれ、それがアジア復興の起点となる。アジアの復興は固有の仁義道徳を守り、また西洋の進んだ文明を学ばなければならない。孫中山先生はまた特に日本に対し東洋の王道を守り、西洋の覇道の手先になってはならない、と訴えました。つまり、孫中山先生とその革命を支持する有識者は偉大な愛国者であるだけでなく、国際主義を目指すコスモポリタンであり、覇権主義とは異なるアジアの夢、大同世界の夢を持っていたと言えます。

 友人の皆さん:

 辛亥革命から百年、アジア復興の道は決して平坦ではなく、2度の世界大戦と冷戦で生命、財産が奪われただけでなく、不幸な記憶と心の傷が残りました。和すれば共に利があり、闘えば共に傷つくことになります。中日関係を語る際にいつも触れるこの道理は、アジアの国家間の関係においても同じです。冷戦が終結し、アジア諸国はグローバル化と地域統合のまたとないチャンスをつかみ、団結協力し、互恵・ウィンウィンをはかり、好ましい安定・発展を続けています。21世紀当初10年の経験は、調和、安定、協力があってはじめて21世紀が真にアジア発展の黄金の世紀になることを教えています。

 国際金融危機が広がる難しい情勢の中で、いま、アジアは一層、平和、発展、協力の焦点となり、世界が危機を乗り越え、回復するための自信とパワーをもたらしています。昨年、アジアは経済成長率が7%に達し、GDPが世界全体の28・3%を占めました。現在、アジアの地域統合プロセスが力強く進み、地域の姿を深く変えつつあります。

 仕組みをみると、ASEANと中日韓の10+3の地域協力の主導的地位が確立され、それを踏まえ、首脳、閣僚、高官会合など一連の整った仕組みが出来ています。10+3と同時に10+1の三つの協力の仕組み、さらに「中日韓の協力の仕組み」もあります。同時にメコン川、図們江、環日本海などの地域協力も活発化しています。

 分野をみると、ASEANと中日韓がそれぞれ自由貿易協定を結び、三つの10+1が肩を並べて進む好ましい状況がみられます。昨年、チェンマイイニシアティブの多国間取り決めが正式に発効し、1200億ドルの外貨融通の枠組みが設けられました。同時にアジア各国の農業、情報、エネルギーなどの分野の協力が深まり、医療衛生、環境保護、教育文化、社会保障などの対話と協力が全面的に展開されています。こうした協力は、アジア各国間の利益のつながりを強め、互いの政治的信頼を徐々に培い、アジアの協力を徐々に政治と安全保障分野に広げるものです。

 友人の皆さん:

 アジアの大国である中日両国の関係は辛亥革命から百年間、苦しく難しい、曲折した道を歩んできました。しかし両国の民間友好のたいまつが引き継がれ、ついに歴史的奔流となり、1972年、中日国交正常化が実現しました。今日の中日関係はますます緊密になり、二国間の範疇を越えて、アジアの安定・復興ひいては世界の平和、安定にますます重要な影響を与えています。

 しかし、アジア諸国とりわけ中日両国が自らの運命を握り、互いの関係をうまく処理できるかどうかについては、依然として多くの挑戦(試練)に直面しています。メディアの報道から、いつも、いくつかの疑問を耳にし、目にします。

 疑問のその一は、中国が隆盛することで、「覇道」に向かわないかということです。ここで厳粛に強調したいことは、近代以来、中国は覇権主義の被害者であり、対決者であり、また中国には「和をもって貴しとなす」という平和、和睦の思想的、文化的伝統があり、今後強大になっても、決して覇権を求めず、平和的発展の道を確固として歩み、互恵・ウィンウィンの開放戦略を堅持するということです。中国の繁栄・発展と末永い安定はアジアにとってチャンスであり、脅威ではありません。アジア各国と善隣友好協力を積極的に進め、地域の平和、安定、発展を共に守ることを願っています。私たちは努力向上、開拓進取、開放包容、同舟相救う「アジアの精神」を常に堅持し、いつまでもアジア諸国の良き隣人、友人、パートナーであります。

 疑問のその二は、中日両国はアジアで必ず一戦交えなければならないのかということです。2008年の中日両国の共同声明は「中日は互いに脅威とならず、互いに協力パートナーであり、相手の平和的発展を支持する」と強調しています。これは両国政府と首脳が国民と国際社会に対し、平和共存と平和的発展を厳かに約束したものであり、アジアはまさに中国がこの約束を果たす第一に重要な舞台であります。

 新たな形勢の下、中日両国はアジアにおいて明らかに補完性があります。中国の優位性は主にアジア諸国と深い地縁と文化的つながりがあり、非常に大きな市場と労働力資源があり、科学技術と工業開発の程度がアジアの途上国のニーズに比較的合致していることです。日本は資金、技術、管理などの面で優れ、同時にアジアとは伝統的な産業分業と貿易・投資のつながりがあります。双方はアジアにおける協力の中で、それぞれの優位性を生かし、互いに補い合い、働きかけ、地域各国の互恵・ウィンウィンの発展路線を求めることができます。アジアの枠組みの中で、中日両国ができることはたくさんあります。

 第1に防災減災協力です。アジアは自然災害の多い地域です。インド洋大津波、中国四川ブン(さんずい+文)川大規模地震、東日本大地震、さらに現在の容赦ないタイの大洪水など、これらの自然災害はアジアの発展に重大な影響をもたらしています。中日両国は自ら蓄積した災害対応の経験を生かし、アジアの地域的防災減災システムを共に築くことができます。

 第2に金融協力です。これはアジア経済の弱い部分です。中日両国はともに地域の中で貯蓄率が高く、外貨備蓄高が世界第一位、第二位です。両国はチェンマイイニシアティブ協議でよく協力し、それぞれ32%の資金を拠出しました。双方は引き続き力を入れ、アジア債券市場を積極的に拡大し、アジアのインフラ整備を支援できます。

 第3にFTA協力です。昨年、中国ASEAN自由貿易圏が設置され、経済・貿易往来が大幅に増えました。中日韓のFTAに関する産官学連携の研究が進展し、年内に完了して、来年、正式に政府間交渉が始まります。しかし、中日二国間のFTAはまだ正式議題にもなっていません。中日は互いに重要な貿易パートナーであり、FTAの早期協定締結は二国間の経済・貿易協力にプラスなだけでなく、アジアの自由貿易ネットワークの構築にも積極的意義があります。双方は切迫感をもって急ぐべきです。

 第4に省エネ・環境協力です。今年、中国の第12次5カ年計画(2011―15年)がスタートしました。計画期間に資源節約型の環境にやさしい社会の実現をはかり、クリーンエネルギーと循環型低炭素経済を発展させます。日本はこの面で成熟した技術と豊富な経験があり、双方は優位性による相互補完と互恵・ウィンウィンをはかり、アジアの省エネ・排出削減と環境保護の進展を促すことができます。

 友人の皆さん:

 百年を振り返り、今昔を思えば、アジアの復興はもはや幻の夢ではなく、急台頭のアジア経済、勢い盛んな地域協力が、私たちをアジアの団結・振興の願いに一歩一歩近づけています。アジアの復興が次の百年の人類の最も壮麗な歴史の1ページとなると信じる理由がわれわれにはあります。

 来年、私たちは日中国交正常化40周年を迎えます。両国がこれを契機に中日の戦略的互恵関係を一段と着実に推進し、中日両国の長期的発展と子々孫々にわたる友好のため、また共に繁栄する調和したアジアのため、一層積極的に努力し、貢献することを希望します。

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