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第9回日中懇話会における程永華大使の講演
中日関係の困難と出口
2014/05/12

   皆さん、こんにちは。「日中懇話会」の招きを頂き、学術、政治、メディアなど各界の30人余りの方々とお会いできて大変嬉しく思います。「日中懇話会」は日本の知識人が集まって中日関係について討論する場であり、これまで8回開かれ、日本社会の中日関係に対する認識を深めるために積極的な役割を果たしてきました。ここでまた触れたいのは、昨年日本の200人余りの中国問題専門家と学者が「新しい日中関係を考える研究者の会」を立ち上げ、中日関係の難局打開を積極的に呼びかけ、両国関係の改善を求める声を発信しました。本日、「研究者の会」の数人の方もお越しいただきました。皆様が中日関係に関心と支持を寄せ、両国関係の難局をのりこえるために力をささげていることに、称賛の意を表する次第です。

   この数年来、中日関係は並々ならぬ激しい紆余曲折を経て、次から次へと深刻に妨げられ、日本の一部勢力による妨害と破壊を受けました。中日関係は国交正常化後最も困難な局面に陥っており、その矛盾の激しさと情勢の厳しさは、私が日本関連の仕事に携わってきた40年ほどの間に経験したことのないものです。この状態は、両国及び両国国民の利益に合致せず、地域及び世界の安定と発展を損ない、深く憂慮させるものです。中日関係は重症患者のように、病状の観察と病因の分析が必要で、また早急に治療の処方と出口を探る必要があります。本日はこれらの点に基づいて見解を述べ、皆さんと意見を交換し、互いに力づけあいたいと思います。

   友人の皆さん

   中日関係の「病状」は領土、歴史、軍事安全保障などの問題が全面的に噴き出し、しかも錯綜して織り混ざり、複雑に連動していることです。中日関係のこれまでの発展をひもといてみると、それぞれの時期にいろいろなもめごとがありましたが、幾重もの問題が同時に発生したのは、私の記憶でも初めてのことです。

   釣魚島問題は領土主権が絡み、歴史問題にかかわり、国民感情に影響を及ぼし、尋常ならぬ敏感さがあります。中国と日本は過去数十年間、国交正常化時の両国指導者の了解事項と共通認識に従って、基本的に関係海域の平穏と安定を保ってきました。2012年に当時の都知事石原慎太郎がこの問題で悪意をもって騒ぎを引き起こし、日本政府が断固として阻止するどころか、逆にその勢いに乗って「島購入」をし、いわゆる「国有化」を実施しました。この措置は双方の了解と共通認識を徹底的に破壊しました。「現状を変えた」のは日本側であり、中国側ではありません。日本側が中国の主権を侵犯した行為に対して、中国側は必要な反応をしなければなりません。

   歴史問題は中日関係の政治的基礎にかかわる重大な原則問題であり、中国政府と人民はこれを大変重くうけとめています。80年代から靖国神社問題をめぐって両国間何度か波瀾が生じましたが、中国側の立場は一貫して明確なもので、この問題をいわゆる「カード」として使うことは一度もありません。われわれは日本指導者の参拝に断固として反対していますが、一般国民があそこで自分の親族を悼むことには異議がありません。小泉首相の政権担当時代、中国と日本はこの問題をめぐって5年間にわたる激しいやり取りを経験し、大きな教訓を残しています。安倍首相が前回の政権担当の際中国を初めての訪問国にしたのは、正にこの問題の善処を踏まえたものでした。経験者であり当事者であった彼は同じことを繰り返すべきでなく、問題を起こすべきではありません。私たちが「日本の指導者は対話の扉を閉ざした」と言っているのは、決してわざと対話を避けようとするものではありません。「げんこつ」で殴られながら、対話を求められようでは、誰であっても応じることができません。

   軍事安全保障分野で、日本の指導者とその側近は、日本国内と国際の場でしきりに中国を非難し、中国の脅威と中日関係の緊張を騒ぎ立て、日本の安全保障政策の縛りを解く作業を急ぎ、一連の軍備強化・拡大措置をたえず打ち出しました。先般、オバマ米大統領の訪日の際、日米は釣魚島、南海などの問題をめぐって消極的な声を発信し、日本が米国と手を組んで中国に対抗する姿勢をあらわにしました。こうした現象は各国の利益が深く融合し、共同発展を求めている今日の世界のすう勢とまったく相いれず、すでに時代遅れとなった「ゼロサム」観念と「冷戦思考」に陥ったものです。それは日本が「隣国を自国の洪水のはけ口にする」誤った道を歩み、平和的発展の正しい方向からそれる結果を招く可能性があります。

   友人の皆さん

   中日関係の直接の「病因」は敏感な問題における日本側の誤った措置にありますが、その「病根」は、戦略的相互信頼が著しく不足し、中国の発展に対する日本の認識に重大な偏向がみられることです。

   中国と中国の発展について、日本国内にはずっと、それをパートナーとするのかそれともライバルとするのか、チャンスとみなすのかそれとも脅威とみなすのかの論争があります。以前、日本社会で主流の意見は中国「チャンス論」に賛同するものでしたが、このところ日本の中国関連世論のマイナス面が明らかに増大し、それは主に三つの面に集中しています。まず中国の衰えを訴え、中国は坂道を下って、さらには「崩壊」に向かっていくと騒ぎ立てること。次に中国の顔に泥を塗り、中国が地域や世界の平和安定を維持するためにしてきた貢献と積極的な役割を無視し、また中国が平和発展と善隣友好政策を堅持することを無視し、国際の場で中国の悪口を言うこと。さらに中国を敵視し、中国を日本の主要な脅威ひいては「仮想敵」に仕立てることです。ここに述べた論調や心理状態はどれをとってもすべて、日本の対中政策を牽制の方向、対決の方向へ導き、非常に有害で危険な結果を生みやすいものです。

   中国の発展に対する皆さんの認識と理解を深めるため、三つの視点から、中国の発展が外部にもたらす影響について話してみたいと思います。

   中国は世界により多くの発展のチャンスをもたらします。中国の工業化、都市化、情報化、農業近代化は発展の最中であり、また都市・農村間、地域間の格差縮小がもたらしてきた成長潜在力は極めて大きいものです。中国の成長率はいくらか鈍化していますが、しかし9兆㌦を超える規模の経済体として、今後なお7・5%前後の比較的高い成長率を維持する能力があります。先般開かれた中国共産党第18回大会と全人代第12期第2回会議では、改革の促進、構造の調整、民生の向上に着目し、行政簡素化と権限移譲の拡大、産業構造の最適化および民生改善による内需引き上げなど一連の具体的措置を打ち出しました。これらは成長を安定させるために原動力を与え続けていくしょう。中国市場のたえざる規模拡大、国際的な投資・融資の増大、自由貿易圏建設の加速、これらは外部に対しすでに、また今後も引き続き利益をもたらすでしょう。中国の年間輸入総額はおよそ2兆㌦に達し、今後5年間に10兆㌦を超える商品を輸入する見込みです。中国の金融以外の対外直接投資は昨年900億㌦を超えました。中日経済協力について、双方にはグリーン・環境保全、循環型経済、医療などの分野で協力の余地があり、日本の環境大気汚染対策の技術と経験は中国で大いにその役割を果たせます。日本が中国のチャンスを十分に認識し、しっかりつかんで、中国の改革全面深化のプロセスに参加し、共に新たな発展をめざすよう希望致します。

   中国は世界の平和と安定を維持するために力を尽くしています。中国が平和的発展の道を揺るぎなく歩むことは、中華民族の平和を尊び、和を尊ぶという伝統的精神のDNAに根ざしたもので、今後の目標実現への自覚と自信にその源があります。中国はいま「二つの百年の目標」と中華民族の偉大な復興という「中国の夢」の実現を追い求めています。具体的に言えば、2020年に国内総生産と都市・農村住民の一人当たり所得を2010年の2倍にし、わりあいゆとりのある社会を全面的に完成させ、今世紀半ばまでに富強、民主、文明、調和のとれた近代的な社会主義国家を完成させることです。そのために、中国には二つの最も基本的な条件が欠かせません。一つは調和で安定した国内の環境、もう一つは平和で安らかな国際環境です。先般、習近平主席はドイツで講演した際、「人間に空気が必要で、万物の生長に太陽の光が必要なのと同じように、中国には平和が必要です。平和的発展の道を歩んでこそ、また世界の各国と共に世界の平和を守ってこそ、中国は自分の目標を実現でき、世界により大きく貢献できるのです」と指摘しました。これら真摯な態度による対外的な宣言は、中国の平和的発展への確固たる決意をよく示しており、日本の各界にこれを理解し、重視していただきたいと思います。

   中国は周辺で、「隣国に善意で接し、隣国をパートナーとする」方針を堅持しています。昨年、中国は周辺外交活動座談会を開いて、「親、誠、恵、容」の理念を前面に出しました。そして〈隣人と親しくし、隣国に善意で接する〉親仁善隣と〈信義を重んじ、言ったことを必ず実行する〉誠信為本によって、中国の発展の利益を周辺に及ぼすこと、和して同ぜず、多様なものが共生する包容的かつ開放的な発展を実現することを強調しました。日本は中国の重要な隣国で、中国の周辺政策の適用対象です。最近日本では中国の対日政策は変わって、一層強硬になったと考える人がいますが、これは事実に合いません。中日関係を重視する中国の基本政策は変わっていません。私たちはあくまでも少数の人や勢力の誤った言動と平和を愛する幅広い日本国民を区別しており、幅広い日本国民と仲良くすることを願い、日本の各界と交流・協力を進めることを願っています。むろん、中国は周辺でことを起こすつもり毛頭ありませんが、同時にことを収めて人々を安んじるために国家の主権、安全保障の利益及び民族の尊厳を犠牲にすることはなく、外部勢力が悪意の挑発によって招いた結果を呑むこともありません。

   友人の皆さん

   中日関係の複雑な病症を前にして、双方が共同で治療の「処方」を探す必要があります。私たちは対応策だけでなく、それ以上に抜本策をとるべきです。当面の対策だけでなく、長期的対策をとるべきです。カギは四つの政治文書の精神をいま一度温め、堅持し、重要な共通認識に厳格に従い、両国関係を長期に安定し、健全な発展の道に乗せることです。具体的な考えの道筋は、まとめていえば、主に4点あると思います。

   第一は歴史、釣魚島問題など重大な政治的障碍を適切に処理し、これは両国関係の改善で避けて通れないことです。日本の指導者が靖国神社問題でレッドラインを越え、中国側との対話の扉を自ら閉ざしました。この扉を再び開くには、日本側が関連の問題を適切に対処しなければなりません。さらに言えば、日本側は過去の日本軍国主義による侵略の歴史から真に区切りをつけ、一線を画す必要があり、こうしてはじめて歴史の重荷をおろし、よりよく未来に向かうことができるのです。釣魚島問題では、中国は断固として領土主権を守ると同時に、対話を通じて問題解決の方法を見いだす用意があります。

   第二は、着実に危機のコントロールに取り組み、武力衝突を防ぎ、これは両国関係で固く守らなければならないボトムラインです。引っ越しのできない近隣の大国同士である中国と日本は、平和共存の道によらなければならず、これをおいてほかに道はありません。現在、東海の関連の海・空域で衝突のリスクがあり、双方は強い危機意識と冷静かつ理性的な頭をもち、現場で不測の事態が起きるのを防止すべきです。中国側は危機管理に積極的態度をとっており、事務レベルでコミュニケーションを保ち、意思疎通をはかる用意があります。双方はさらに、日本の一部勢力が再び挑発行為をし、トラブルを起こすのを避けるべきです。

   第三は引き続き実務協力を維持し、推進することで、これは両国関係を守るために必要な保障です。中国と日本の交流・協力は両国の発展に役立ち、双方の利益に合致することです。中国は各分野、各レベルの友好交流を支持しており、中国を理解して中国に友好的な態度を持つ各界の人々との付き合いを維持したいと思います。最近中国側は、日本国際貿易促進協会、東京都知事、日中友好議員連盟および自民党「AA研」代表団などを相次いで受け入れ、経済界、地方自治体や議員など各界の交流に対する積極的姿勢を示しました。双方がこうした往来の勢いを維持し、両国関係改善のために共に努力するよう希望致します。

   第四はお互いに対する正しい認識と位置づけをもち、前向きな政策基調を確認することで、これは両国関係が正しい軌道に向かうための根本的な要請です。双方は理性的かつ客観的な心理状態で相手の発展を見守るべきです。そして両国の第4の政治文書中の「互いに協力パートナーとなり、互いに脅威とならず、平和的発展を相互に支持する」という共通認識を確実に実行に移し、これを人々の間に深く浸透した社会の共通認識とすべきです。私たちは日本が戦後平和の道を歩んで重要な成果を収めたことを前向きに評価しており、日本側が自国の利益と長期的な大局を踏まえ、時代の潮流に沿うよう、そして平和の方向を把握して、前向きの対中政策をとって、中国側と共に政治安全保障の相互信頼を築くよう希望しています。

   友人の皆さん

   社会の英知と良識を集めた知識人は、国の発展と進歩のために智力面の支えと精神的原動力を提供しています。中日関係が深い膠着状態に陥っている情勢下で、「日中懇話会」、「新しい日中関係を考える研究者の会」などの団体は使命感と責任感に基づき、両国関係改善のため積極的に広く知恵を集め、提言しており、その精神には頭が下がります。中日関係は今後もしばらく困難に直面すると思われますが、二つの会を含む各界の有識者が引き続き困難にひるまず、中日の互恵・ウィンウィンの理念と理想を貫き、少しでも多く考えを出し、具体的なことをするよう努力して、両国関係改善のために前向きとプラスの要素エネルギーを蓄えるよう希望致します。

   ご静聴ありがとうございました。

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