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歴史から英知を汲み取ろう
――程永華駐日中国大使の桜美林大学における講演
2011/06/01

 

 5月27日、程永華駐日中国大使は、桜美林大学における「歴史から英知を汲み取ろう」と題する講演を行った。これには美林大学の佐藤東洋士桜学長および教官と生徒の300人近くが出席した。程大使は次のように述べた。 

 本日、桜美林大学から名誉博士号を贈られたのは、この上なく光栄なことであり、佐藤理事長及び大学側のご好意に謹んで謝意を表します。

 今年は桜美林学園創立90周年、また桜美林大学創立45周年にあたり、衷心より祝意を表します。桜美林学園は中国と深い縁があり、前身は清水安三先生が1921年に創立された崇貞学園です。現在の北京陳経綸中学で、私が勤務している外交部と同じく朝陽門外にあり、さほど離れていません。貴校は中国と特別な歴史的淵源があり、長期にわたって中日友好のために力を尽くしてこられました。創設当初から中国語のカリキュラムを設け、中国語学科を設けており、5年前に日本で2番目の孔子学院を開設し、これまでに中国の15の大学と交流関係を築き、また60以上の大学と友好往来を展開しています。貴校は多数の優れた人材を養成し、その中の数千人の中国語専攻卒業生は、経済、文化などの中日交流・協力分野の第一線で活躍しています。この機会を借りて、敬意を表したいと思います。

 教官の皆さん、学生の皆さん

 皆さんはテレビをつけ、新聞をめくり、またインターネットに接続すれば、中国が「ホットワード」になっていることを発見できます。今日の中国、急速に発展する中国は、その社会制度、発展状況、今後の動向を含めて、ますます世界の注目を集めるようになっています。昔の人は、「歴史を鏡にすれば、興替を知ることができる」と言っています。中国の歴史を少しでも多く知ることは、中国の発展をよりよく理解するのに有益です。

 ――中国はなぜ社会主義の道を選んだのか

 中国が社会主義の道を選んだのは歴史的な必然です。

 近代の歴史において、中国は列強にさんざんいじめられました。近代史の苦難は私たちに、遅れればたたかれるという一つの道理を教えました。こうした局面を脱するには、国家は自国の国情に合った社会制度をもち、たえず強大になる国力をもち、強固な政治指導をもたなければなりません。中国は近代において実に多くの苦難に遭いました。無数の志士仁人が懸命に救国救民の真理を探し求めました。2千年余りの封建専制支配を覆した後、中国近代には資本主義共和制の試みもありましたが、この実験は中国では成功しませんでした。90年前、中国共産党が成立しました。そして暗黒の中で模索を続け、力を奮って前進し、最後に中国人民を率いて新中国を樹立するとともに、数十年の困難な努力を経て、中国の特色ある社会主義の道を歩み始めました。中国共産党を選び、社会主義制度を選んだのは歴史と人民だと言うことができます。

 一国の制度はその国の人民自身が選択すべきです。世界は多彩であり、ある一つのモデルで統一することは不可能で、いかなる国も自らの国情に合った道を歩むべきです。世界の多様性と各国人民自身の選択は尊重されるべきです。中国でよく、「靴が足に合うかどうかは自分にしかわからない」と言われるとおりです。新中国成立後60余年間、特に改革・開放後30年余り、中国は天地を覆すほどの変化をとげ、すでに世界第二の経済国になっており、総合国力はたえず強まり、国際的地位はたえず高まり、人民の生活はたえず改善されています。

 今年3月、中国は第12次国民経済・社会発展5カ年計画を策定、採択しました。そして科学的発展を主題に、経済発展パターンの転換加速を主軸に、全面的で持続可能な、つりあいのとれた発展を実現し、改革・開放を深化させ、民生を保障、改善し、経済の長期的で安定した比較的速い発展と社会の調和・安定を実現することになっています。私たちには遠大な計画があります。それは中国共産党結成100周年、つまり10年後、全面的な小康社会〈暮らしにわりあいゆとりのある社会〉を実現する、中華人民共和国建国100周年、すなわち2049年に、中進国の水準に到達することをめざすというものです。

 ――中国はなぜ平和的発展を選んだのか

 中国は平和的に発展しなければならず、それは私たちの歴史的伝統にかなっており、また私たちが歴史の中から得た啓発でもあるのです。

 中国には「仁」、「和」を核心とする数千年の政治的文化的伝統があり、「和を以て貴しと為す」、「親仁善隣」〈周囲の国や人と仲良くする〉、「協和万邦」〈すべての国が平和的に共存する〉を尊んでおり、拡張や覇権を求める文化と伝統はありません。数百年前、中国が最も強大だった時、そしてGDPが世界の30%を占めた時でさえ、拡張をやめ、覇権を求めようとはしませんでした。日本はこの点をよく分かっているはずです。中国の盛唐の時期でも、日本が中国から得たものは脅威ではなく、繁栄でした。私はマレーシア駐在大使を務めたこともありますが、そこの友人たちは、明代の有名な航海家鄭和が七度西洋に下った話を何度もしました。すなわち、鄭和は当時世界で最も強大な船団を率いていたが、行く先々に持っていったのは流血と戦火、略奪と植民ではなく、豊富な物産、進んだ技術、厚い友情であり、それはその後の西洋の列強が砲台を造り、土地を占領し、物資を奪ったのと鮮やかな対照をなしていると言っていました。

 近代にさんざん侮りを受けた中国は、その苦い味をよく知っています。「己の欲せざる所、人に施す勿れ」というように、中国は同じような苦しみを他国に加えることはありません。

 歴史の英知は、平和的発展が最も永続し、過去の西洋の「国が強くなれば覇権を求める」という道は行き詰まることを教えています。実際、日本の近代以降の歩みは、よい教科書にほかなりません。明治維新後、日本は短期間に列強に仲間入りし、対外拡張の軍国主義への道を踏み出しました。しかし武力、覇道は一時のさばれるだけで、長くのさばることはできず、最後に日本は失敗しました。戦後日本は平和的発展を堅持し、廃墟の中から再び立ち上がり、経済力で世界の先頭に並ぶ先進国になりました。今昔を比べると、答は何と明白なことでしょうか。実際、経済のグローバル化時代に、一国の振興は完全に平等な秩序ある、相互利益・互恵の国際競争と協力によって実現することができます。国際秩序に挑戦したり他国に挑戦したりする古い道を歩むのは不必要で、また不可能なことです。世界の大国の盛衰の経験は、拡張主義の道は行き詰まり、世界に覇を唱えるのは破滅への道であり、平和的発展こそが唯一の正しい道であることを私たちに教えています。

 中国が西洋諸国の「国が強くなれば覇権を求める」という古い道を歩むことはありません。

 私たちはこのように言っています。早くも1970年代、鄧小平氏は国連総会で全世界に向かって、中国は永遠に覇権を求めないと厳かに宣言しました。「もし中国がいつか世界で覇権を求めたならば、世界人民はそれをあばき、それに反対し、それを打倒しなければならない」と。覇権主義反対はすでに中国の憲法に書き込まれ、中国共産党の規約にも書き込まれています。一つの国が世界に脅威を与えているかどうかを判断するポイントは、その国がどのような政策をとっているかです。中国にとっては、覇権を争わず、覇権を求めないことが、基本的国策であり、戦略的選択です。

 私たちはまた、このようにしています。中国は平和的発展のために力を尽くし、揺るぎなくこの道を歩み続けるでしょう。

 政治面で、私たちは中国の特色ある社会主義を進め、社会制度や発展モデルを輸出せず、他国の内政に干渉しない原則を堅持し、各国人民の社会制度と発展の道の選択を尊重しています。

 経済面で、私たちは一心不乱に建設に取り組み、一意専心発展をはかり、また各国が引き続き繁栄発展することを喜び、共同の進歩を求めています。

 外交面で、私たちは独立自主の平和的外交政策をとり、互恵・ウィンウィンの開放戦略を堅持し、「善意を以って隣国に接し、隣国をパートナーとする」という周辺外交の方針を堅持し、周辺諸国との善隣友好協力関係の深化に努め、平和が永続し、共に繁栄する調和世界の建設を堅持しています。

 軍事面で、私たちは確固として防御的国防政策をとり、軍備競争を行わず、相互信頼、互恵、平等、協力に基づく新しい安全保障観を提唱しています。今年の中国のGDPに占める国防予算の割合は約1・4%で、西側先進国の平均の4%をはるかに下回っています。中国は世界の6・4%を占める、すなわち960万平方キロメートルの国土、2万2000余㌔の陸上国境、1万8000㌔の海岸及び全世界の23%を占める人口を防衛する必要があり、総合的に考えて、中国の軍事費は完全に合理的範囲に属しています。

 過去30余年の歴史は、中国が自らの実践で、後発国の振興においては必ず略奪、侵略、覇権に訴えるという歴史の法則をすでに打破したこと、そしてグローバル化の時代に勤勉さと英知に頼り、協力とウィンウィンに頼って平和的発展を実現するまったく新しい道を開いていることを全世界にはっきり示しています。

 国際社会の責任ある一員として、中国はつねに世界に貢献するよう努力しています。

 ――中国は世界の7%の耕地を使い、全世界の23%を占める人口を養うとともに、全体として小康の生活を送れるようにしました。このこと自体、世界に対する極めて大きい貢献です。中国が13億人の衣食問題を自分で解決できないとしたら、それは世界にとって何を意味するでしょうか。

 ――中国経済は世界経済をけん引する重要なエンジンになっており、昨年、世界のGDPに占める中国の割合は9・5%で、全世界の経済成長への寄与率は26%に達しました。近年、国際貿易の増加に対する中国の寄与率は12%を超えており、過去10年間中国は年平均6870億㌦の商品を輸入し、関係国・地域のために1400万余りの雇用を創出しました。中国の製造業の世界シェアは約20%で、全世界の市場に物がよく値段が安い大量の商品を供給しています。

 ――中国はエネルギー、食糧、気候変動、テロ、自然災害、伝染病、金融危機など地球規模の問題への対応及び朝鮮半島の核、イランの核、アラブ・イスラエル紛争、スーダン・ダルフールなどの地域問題の解決に積極的に参加しています。対テロ、海賊取り締まり、不拡散、災害救援などの国際協力に積極的に参加しており、国連安保理5常任理事国の中で、平和維持活動への将兵の派遣数が最も多いものです。国際ルールの制定と整備を含め国際システムづくりに積極的に参加し、国力に見合った国際的責任と義務を引き続き果たしています。世界各国とともに、国連ミレニアム開発アジェンダを推進し、対外援助の規模を持続的に拡大し、世界の160余カ国に恩恵を及ぼし、国連ミレニアム開発目標の実現に貢献しています。

 たえず発展する中国が世界に一層大きな貢献をすることを歴史は引き続き証明するでしょう。

 

 教官の皆さん、学生の皆さん。

 中日両国は一衣帯水で、2千余年の友好往来の歴史をもつと同時に、近代において不幸な歴史もありました。新中国成立後、双方の共同の努力の下で、民が官を促し、官民が共に進めて、1972年に中日国交正常化が実現し、両国関係発展の新たな一ページが開かれました。国交正常化後40年近く、両国政府と人民の共同の努力の下で、中日関係は急速な発展を収めました。両国の交流・協力はますます幅広く、ますます奥深くなり、両国の共通利益はますます多くなっています。同時に、中日関係の発展過程で、たびたびあれこれの問題にぶつかっていることも見なければなりません。

 歴史に学べば、人間は賢くなれます。中日関係の歴史をひもとくとき、私たちはその中から、和すれば共に利益を受け、闘えば共に傷つくという基本的な教えを得ることができます。とりわけ、中日両国が共にアジアと世界に重要な影響力をもつ国であるという大きな背景の下で、両国には友好的に協力していかない理由はなにもありません。長期の、健全で、安定した中日関係を発展させることは、両国と両国人民の根本的利益にかない、またアジアと世界の平和、安定と発展にも役立ちます。

 来年、両国は国交正常化40周年を迎えます。歴史的経験を振り返り、締めくくって、私は以下の数点が非常に重要で、また今後への期待とすることもできると考えています。

 第一、中日間の四つの政治文書の原則と精神をつねに変わらず堅持し、両国が互いに協力パートナーになり、互いに脅威とならず、平和的発展を相互に支持するという両国の約束を実際の行動によって実行に移していくこと。

 第二、ハイレベルの政治往来、経済の実務協力、国民の草の根交流、安全保障・防衛の相互信頼醸成という「四輪駆動」を堅持し、地道な努力を通して、理解と信頼を増進し、両国の戦略的互恵関係を充実させ、推進すること。

 第三、大局に着目し、敏感な問題を適切に処理し、両国関係と両国人民の感情に無用な衝撃を与えることを防止すること。

 第四、アジアならびに世界に目を向け、地域協力を強化、推進し、地域の安定を守り、全世界的課題に共同で対応し、世界平和の維持と共同の発展の促進のために力を尽くすこと。

 この機会を借りて、先般温家宝総理が日本で第4回中日韓首脳会議に出席し、宮城、福島を視察、お見舞いしたことに特に触れたいと思います。今回の訪問は日本で巨大地震と二次災害が起きた特別な背景の下で行われ、私は全行程を温総理に同行して関係の活動に参加しました。これは中国政府と人民がさまざまな形で日本の震災救助・救援への支持を表明したのに続き、中国の指導者が重ねて日本人民に中国人民の友好的気持ちを示したお見舞いの旅であり、自信と力を伝えた協力の旅だったとしみじみ感じております。それは二国間関係を一段と深め、3カ国の実務協力を推進し、中日両国民衆の感情をさらに近づけました。

 教官の皆さん、学生の皆さん

 桜美林学園の創立者清水安三先生は、「学而事人」(学んで人に仕える)を座右の銘にし、単純に勉学のための勉学ではなく、大衆に奉仕するため学ぶべきだと強調されました。ここには日本の学生も、中国からの留学生もいます。学生の皆さんが勉学に励み、中日両国の棟梁の材〈重責を担いうる人材〉となり、将来両国の発展と両国関係の発展に貢献し、両国人民に幸せをもたらし、アジアと世界に幸せをもたらすよう心から希望しております。

 ご静聴ありがとうございました。

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