孔鉉佑大使,日本の経済界関係者と懇談・交流
2021/09/20

    2021年9月16日、日本の佐々木幹夫元三菱商事会長、斎木昭隆元外務次官の招きを受け、孔鉉佑駐日大使は日本の有名なシンクタンクである中東調査会の会員企業と懇談・交流し、中日関係および中日経済・貿易協力について基調講演を行った。日本の主要企業約40社の経営陣や専門家、学者、メディア関係者らが出席した。講演の内容は次の通り。

    本年は冷戦終結30周年にあたります。30年前、冷戦の終焉は、米ソ2極の覇権体制が崩壊し、世界は40年以上に及ぶ対立と分断から脱却したことを示しました。この30年間、世界は全体として平和と安定が維持され、経済は飛躍的に発展し、科学技術も日進月歩するなど、人類は平和的発展とグローバル化がもたらした莫大な利益を十分に享受してきました。この30年は、人類史上最も急速な発展と最も大きな進歩を遂げた30年だったと言われています。

    それから30年後の今日、世界は100年に一度の大変化にあり、人類は再び歴史の岐路に立たされています。一国主義や覇権主義がまかり通るようになり、新型コロナウイルス感染症という100年に一度のスーパー「ブラックスワン」が襲来し、世界の平和と安定は深刻な脅威にさらされ、グローバル化のプロセスは大きく頓挫しました。これと同時に、コロナ禍やテロ、気候変動などの共通課題に直面する中、国際社会で連帯と協力を求める声が日々高まっています。デジタル経済が急速に発展し、世界経済に新たなチャンスが生まれ、グローバル化は新たな強靭性を示しています。新興国・途上国というグループの台頭は、国際社会における勢力構造の均衡化を進め、グローバルガバナンスの変革と多極化のプロセスに新たな原動力を与えています。中国と日本が位置するアジア地域は、世界経済の回復を牽引する重要なエンジンとなりつつあります。

    当面、中日関係は複雑で深刻な状況に直面しています。日本側には、中国側とともにより広い視点で、中日関係を世界的な大変化という広い文脈の中で考え、把握し、両国関係に関わる諸問題を真剣に考え、両国関係の安定した発展・改善の道を模索していくことが大事です

    まずは、中国を客観的かつ合理的に捉えることです。中国の対日政策は一貫して明確であり、日本をライバルや敵として扱うことなく、常に中日の平和友好、協力とウィンウィンを主張してきました。我々は、中日間の矛盾や相違の存在を否定することはしません。常に中日間の四つの政治文書の原則とこれまでの一連の政治的合意に基づいて、適切にマネージすることを主張してきました。日本の一部の人は、中国の戦略的意図を歪曲し、中国の脅威を喧伝し、矛盾や食い違いを誇張することで、中国への恐怖を煽り立てようとしています。日本側が誤解や誤算を避け、中国側と歩み寄り、「互いに協力のパートナーであり、脅威とならず」という政治的コンセンサスを真剣に実行し、中日関係の正しい方向性をしっかりと把握することが大事です。

    次は、中米の駆け引きの利害関係を見極めることです。中米関係は日本にとって避けて通れない地政学的現実であります。日本では、中米が衝突を避け、中米対抗の渦に巻き込まれたくないと考えているのは多数だが、アメリカに協力して中国を封じ込めるべきと主張する人もいます。このような大国間の対立を煽り立て、助長する動向は中日関係を誤った道に導きかねないもので、極めて危険であり、日本側には冷静且つ理性的な対応が求められます。

    最後は、日本が自身の立ち位置を見つけることが重要です。本地域の重要な国、世界の主要経済大国、そして中国の近隣国で、米国の同盟国でもある日本は、自らの地位や役割を矮小化するのではなく、あくまで戦略的自主性を維持し、客観性と公正を堅持し、問題の是非に基づいて自らの立場を決定すべきです。

中日経済貿易協力について

    中国と日本の利益は深く融合しており、経済・貿易協力は互恵、ウィンウィンに繋がります。昨年、コロナショックに見舞われながらも、両国の経済・貿易協力はかえって粘り強い成長を見せ、二国間貿易額は3175億米ドルに達しました。今年上半期は前年同期比23.7%増で、通年で過去最高を記録する見込みです。対中貿易は、日本の輸出入のそれぞれ25%、21.6%を占めており、中国は日本にとって最大の貿易相手国、輸出先、輸入元となっています。2020年度に在中国日系企業が黒字または損益均衡を達成したのは8割で、中国での経営状況は他の国や地域に比べて一段と優れていることがわかります。これらの一連のデータは、中日経済・貿易協力の強靭性、両国が相互依存関係と互恵ウィンウィン関係にあるという本質的な特徴を明らかに示しています。中国側は、両国の経済界が積極的に実務協力を開拓し、利益の融合を深めることで、それぞれの経済回復をより力強く後押しすることを歓迎し、支持します。

    中国経済には明るい見通しがあり、日本がそのチャンスを掴むことを歓迎します。2020年、中国の経済成長率は2.3%で、主要経済国の中で唯一プラス成長を達成しました。今年上半期は前年同期比12.7%増となり、経済は着実に安定回復しつつ、向上しています。中国は、日本を含む世界130以上の国と地域の最大の貿易相手国です。中国市場は、世界の投資家から大いに評価されており、昨年、世界の対外投資が40%減少している中、中国への投資が逆に4.5%増加しました。今後15年間で、中国の中間所得層は8億人に倍増し、これが世界最大かつ最もダイナミックで、まだまだ進化し続ける巨大市場となります。我々が新しい発展のモデルを構築していますが、それが閉ざされた国内循環ではなく、国内市場と国際市場をオープンに連動させた双循環です。我々は今後とも、高いレベルの対外開放を推進し、市場化、国際化、法整備の整ったビジネス環境を創っていきます。日本が中国の重要なパートナーとして、近隣国のアドバンテージを生かして、一足先に中国の発展の機会を掴み、中国市場でより大きな発展を遂げることを歓迎します。

    中日協力には大きな潜在力があり、双方が新たなハイライトを積極的に作り出すべきです。両国ともカーボンニュートラルの目標を掲げており、省エネ・排出削減、クリーンエネルギー、新エネルギー車などグリーン分野において協力する余地は大いにあります。中国は「デジタル中国」の建設を加速しており、デジタル経済の規模はGDPの3分の1以上を占めます。日本もDX推進を目指しており、デジタル経済はコロナ禍の中、そしてコロナ後の時代の中日協力の重要な柱となれます。中国は北京冬季オリンピックに向け、各準備事業が着実に進んでおります。北京冬季五輪によって、中国では「3億人がウィンタースポーツに参加する」目標を掲げ、ウィンタースポーツ産業の規模は2025年には1兆元に達すると予想され、関連産業の日本企業には大きな発展の機会をもたらすと考えられます。「一帯一路」建設の推進に伴い、2020年に中欧班列は年間で列車が1万2400本運行し、輸送されたコンテナの数は113万5000個で、それぞれ前年比50%、56%増加し、名実ともにユーラシア大陸を貫く貿易大動脈となりました。日本側が、中欧班列を積極的に活用し、様々な形で中国との第三国市場協力や「一帯一路」に参入することを歓迎します。双方はRCEP協定が予定通り発効、実施されるように連携し、アジア太平洋地域の地域統合の推進、多国間の自由貿易システムの擁護に努める必要もあります。

    双方が市場原理を尊重し、経済・貿易協力に対する政治の干渉に反対しなければなりません。事実が十分に証明しているように、政治手段では経済問題は解決できず、人に害を与えて、結局自分も損をする始末になります。アメリカは中国に貿易戦争を仕掛けた結果、対中貿易赤字は減るどころか増え続け、関税の追加された分は結局アメリカ国民に転嫁されています。アメリカは中国企業を制裁しても、中国は外圧を自主開発やイノベーション促進の原動力に変え、いずれはブレークスルーする力を十分に備えています。世界的なコロナのリバウンドで産業チェ-ン、サプライチェーンが深刻な脅威にさらされる中、中国が最も完備した産業体制を持ち、強靭さや厚さを備えるサプライチェーンを有しており、中国とのデカップリングが非現実的なことだと、多くの企業に改めて認識されました。日本国内では、「経済安全保障」の概念を拡大化して中国企業を排除し、中国への「供給停止」や中国との「デカップリング」を主張する消極的な動向が見られ、両国の企業の利益と双方の正常な協力に深刻なダメージを与えています。日本側が自由貿易と市場経済へのコミットメントを堅持し、両国間の経済・貿易協力に政治的干渉や人為的な制限を加えるのではなく、公平で開かれ、透明で非差別なビジネス環境を提供し、中国と協力して安全、安定、安心な産業チェーン、サプライチェーンを維持するよう期待します。

    経済・貿易協力は、中日関係の重要な基盤となり、互恵、ウィンウィン関係を鮮明に表現しています。来年、我々は国交正常化50周年を迎えます。過去半世紀の歴史を振り返り、国交正常化以前の半官半民のLT貿易のときも、日本が中国の改革開放と近代化建設を支援したときも、あるいは両国関係が「政冷経熱」、数年前政治関係が冷え込んでいたときも、日本経済界の皆さん方は、常に中日関係の改善と発展を促進するために重要な役割を果たしてきました。今後とも、両国の経済界がその伝統を発揚し、新しい時代に相応しい中日経済貿易協力と両国関係の発展のためにより大きな貢献を賜ることを強く期待しているところであります。

    孔大使はまた、中国の発展や国際・地域問題など日本側の参加者が関心を寄せるテーマについて踏み込んだ意見交換を行った。