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崔天凱大使が中日関係,周辺外交を語る ネットユーザーと交流
2009/07/26

    崔天凱駐日中国大使は7月22日、中国外務省ウェブサイトと新華網〈訳注新華社ウェブサイト〉に招かれて、中日関係や周辺外交などの問題について広範なネットユーザーと交流した。内容次の通り。

    司会者:ユーザーの皆さん、こんにちは。今年は新中国成立60周年にあたり、新中国の外交も60年の並々ならぬ道のりを歩んできた。新華網は特別シリーズ対談「建国後60年の中国外交」を企画し、1回目のきょうは新華網と外務省サイトが共同で、駐日中国大使の崔天凱氏をお招きした。崔大使、こんにちは。

    司会者:中日関係は世界で最も重要な二国間関係の一つだ。両国間の交流は密接で、両国政府は中日関係を非常に重視し、両国の国民も強い関心をもっている。周辺の情勢及び周辺諸国との関係は、わが国の発展にとって極めて重要で、これまでずっと中国外交の重要な構成部分だった。本日、崔大使は中日関係や周辺外交などの問題について広範なネットユーザーと交流する。きょうは一人の同僚が私と一緒に司会を務める。

    崔天凱:こんにちは。ユーザーの皆さん、こんにちは。本日、この交流活動に参加できることを非常に喜んでいる。新華網は、私が大使館で仕事をするとき最もよくアクセスするサイトの一つだが、ネット上で皆さんと交流するのは初めてだ。新華網がこの機会を与えてくれたことに心から感謝する。私はあす大使館に戻るが、皆さんが中日関係と中国の周辺外交に関心を寄せていることはよく知っており、本日の交流を通じて皆さんの見解や意見を持ち帰りたいと思っている。

    司会者:大使はいつも新華網にアクセスされるそうだが、最も注目しているのはどのような記事やジャンルか。

    崔天凱:仕事の必要上、最もよくみるのは時事と国際問題だ。

    司会者:新華網のユーザーはあなたのことを非常によく知っており、強い関心も寄せている。崔大使は07年から大使として日本に駐在しておられる。あなたの英語が特に流暢なことは知っているが、日本語はどうか。

    崔天凱:確かに日本語は勉強したことはないが、日本に来てから多少努力した。しかしさまざまの要因から、時間もそうなくて、あいさつや感謝を表す日常の決まり文句しか学んでいない。日本語は中国語に近いようにみえるが、文法や用法は大きく違っており、習得するのはやはり容易でない。それに日本では英語も使える。特に外務省を含む政府関係者や多くの専門家・学者、さらに企業家は英語が話せる。日本には多くの多国籍企業があり、人々は英語で交流できるので、さほど問題はない。

    司会者:みんなはあなたの仕事・生活の状況に非常に関心をもっている。あるユーザーは、和食には慣れたかと聞いている。

    崔天凱:私は外務省で長年国連問題を担当しており、各国で会議が開かれるため、世界各国の飲食に慣れる必要がある。日本にも行っていて、和食にはとうに慣れており、わりと好きでもある。比較的淡白で、健康によいと思う。日本が世界の長寿国の一つであるのは、おそらく食べ物と関係があるだろう。仕事の一部としても、私は日本の多くの地方を見て回る必要がある。日本には47の都道府県があり、すでに23を回っている。任期中に47をすべて回って、今日の日本と日本人をよく知りたいと思っている。複数回行ったところも少なくない。指導者が訪問すると、同行するので、中には7、8回行ったところもある。実際、どの地方への訪問もあわただしく、馬上の花見だが、たとえ馬上の花見であっても、見ないよりはよい。

    司会者:崔大使は国連でも仕事をされたが、大使になる前に日本に行ったことはあるのか。

    崔天凱:何度も行っている。

    司会者:駐日大使になる前と後で、感じ方は違うか。

    崔天凱:いくつかの感じは日本勤務になる前にも持っていたが、日本に行った後一層強くなった。例えば、日本では環境が大変よく守られており、都会でも農村でもきれいに保たれている。日本人はエネルギーや資源の節約にもよく心がけており、このことは早くから知っていた。しかし日本で勤務するようになった後、特に各地域を訪ねて、細かいところまで、これらの問題に心がけているのをまのあたりにした。例えば、日本ではどこへ行っても、砂塵が舞い上がり、風が吹くと空一面ほこりに覆われる光景はあまりみられない。どこもきれいに清掃され、家を建てたり壊したりするときは囲いをして、周りの環境に影響しないようにする。どんなに小さい食堂でも、衛生状態は一定の基準に達しており、人々は安心して食事をすることができる。これら細かい部分は、日本に行った後よ多く接するようになり、感じ方も比較的深くなった。一部のことは日本で勤務していない時は、必ずしも感じていなかったが、日本に行ったあとだんだん感じるようになった。例えば日本の文化、日本人の思考方法、さらに日本企業の経営の道については、大変教えられた。特に金融危機のあと、多くの企業家と接触し、金融危機に対する見方や対応策を聞くことができた。これらは日本で一定期間勤務しなければ、感じる機会は得られないものだ。

    司会者:中日関係は中国の最も重要で、敏感で、難しい外交関係の一つだが、駐日大使として、中日関係をどう理解しているかお話しいただきたい。

    崔天凱:中日関係の重要性、その敏感さおよび難しさについて、皆さんは共通認識をもっていると思う。二つの国は隣国で、こんなに近いことから、歴史上長い間行き来してきた。私は周恩来総理が、中日両国間は友好2000年、対立50年だと語ったのを覚えている。隋唐から、日本は多くの人を中国に派遣して文化などを学ばせた。しかし前世紀に侵略戦争が起こり、両国人民に大きな苦難をもたらした。1972年の国交正常化からすでに長い年月がたち、両国は共に新しい世紀を迎え、新たな環境のなかにある。二つの国の関係がどうであるか、健全に安定して発展しているか、それともいつもぶつかり、いつも矛盾があり、さらには争いがあって、お互いの協力に影響しているかは、両国の発展、両国の利益にとって大変重要である。中国にとってそうで、日本にとってもそうだ。

    昨年、胡錦涛主席が日本を訪問した際、両国の指導者は二つの国が互いに相手の平和的発展を支持するという戦略的互恵関係の包括的推進を決めたが、これは両国の長期的、共通の利益に着目した位置づけで、大変的確で、ぜひとも必要なものだと考える。しかしこれを実行に移すには多くの具体的問題を解決する必要があるだろう。両国関係は密接で、過去のもめごとも比較的多いため、両国関係の敏感さは大変高く、進展があっても、困難にぶつかっても、なにかにつけ両国国民の注目を集めることになる。だからわれわれの仕事をどううまく進め、中日関係の発展をはかるかは、確かに両国国民の強い関心を集めている。それはわれわれにとって、(この関係をよく維持しなければならないという)仕事上の圧力でもあれば、一つの責任感でもある。全般的には、私は両国関係の将来にやはり自信をもっている。両国の共通利益がそこにあるからだ。そのため協力し友好的に付き合えば、両国共に利益を受けられ、たえず争えば両国の利益が損なわれることになる。これは両国社会における主要な認識である。

    司会者:これらの共通利益はどんなものか、なぜそんなに重視するのか、ユーザーに説明していただきたい。

    崔天凱:共通の利益は多く、詳しく話すとなると、時間がかかるだろう。かいつまんで話してみたい。第一、両国は共に北東アジアに位置し、共にアジアと世界で重要な影響力をもつ国である。現在、世界各国が共通の安全を追求しており、一国の安全は多国の安全を損なうことを前提にしてはならず、中日両国にとってはなおさらそうだ。だから平和・安定の周辺環境の維持において、中日両国には明らかに共通の利益がある。第二、われわれはいま、最近の金融危機のように、多くの全世界的問題に直面している。中日両国の実体経済はこの金融危機の大きな衝撃を受けており、協力を通じて経済的困難を克服するとともに、アジア全体の苦境脱出を引っ張る面でも、両国には大きな共通の利益がある。第三、中国は科学的発展を実現し、持続可能な発展を実現しなければならず、われわれは省エネ・環境保護分野を非常に重視しているが、これらの分野で日本は世界でも比較的よくやっているというべきだ。日本は多くの成功例をもっており、その進んだ技術、設備をわれわれは導入し、参考にすることができる。無論、日本としては、これらの技術や設備の市場が必要であり、中国は目と鼻の先にある世界で最大の市場にほかならない。したがって、この方面で、両国には大きな共通の利益があり、強い相互補完性がある。

    司会者:昨年から、金融危機が全世界を席巻しているが、世界第二の経済大国である日本はどのような影響と衝撃を受けているか。

    崔天凱:金融危機は日本にも大きな影響を与えているが、この影響は米国、欧州とは違ったものだ。日本の金融機関は過去10年間多くの調整をしている。そのため問題は金融部門から始まったものでなく、主に製造業、実体経済、特に輸入に携わる企業で生じている。その主要な市場が欧米にあるため、欧米市場がだめだと、大きな輸出企業は大きな衝撃を受けることになる。世界的に有名な企業を含めて、収益が低下し、さらには赤字になっており、これは日本にとって大きな挑戦〈試練〉である。この点はわが国の状況と少し似ている。わが国自身の経済はなお比較的健全で、金融部門も比較的安定しているが、輸出が世界市場の不振の影響を受けているからだ。この点は日本の政府、産業界、国民から重視されている。しかしこれは問題の一側面だと思う。

    もう一つの側面がある。日本で勤務しているわれわれの直接の感じからすれば、日本の経済力は今回の金融危機によって根本的影響を受けてはいないというべきだ。われわれの言葉で言えば、「傷筋動骨」〈筋を痛め骨を傷める、筋や骨にさわる意〉の影響は受けていない。その高級製造業の能力はまだ強く、研究開発能力も力を緩めることなく、引き続き強化されている。私は多くの日本の大企業と接触しているが、彼らはみな、当面の金融危機に対応するほか、金融危機の後、どのような産業、技術、製品が世界でより競争力があるかに着目している、たとえ金融危機の下であっても、これらの作業の手を緩めてはならないと思うと話している。この点はわれわれとしても真剣に検討すべきである。

    全般的に、日本経済は金融危機の大きな影響を受けているが、実力はまだある。金融危機が起きた後、日本の経済界は一様に、現在の危機からより早く抜け出せるかどうかは、中国経済の動向に大きく左右されるとみていた。つまり中国経済が安定した比較的高い成長を維持できるならば、日本は中国との協力を通して、現在の危機から比較的速く抜け出す可能性があり、これが両国の協力の新たな重点と焦点になってくるというのだ。

    司会者:中日両国の経済・貿易分野の協力は今回の金融危機の下で、どのような影響を受けているか。

    崔天凱:一つの重要な現れは貿易量の低下だ。両国の産業界も積極的に方策を考えている。またわが国の景気刺激の包括的プランは、わが国の経済に対して大きな促進作用を果たすだけでなく、日本にも大きな促進作用を果たし、日本の産業界を勇気づけた。彼らはこうみている。中国の景気刺激計画はタイムリーで、また非常に効果的だ。中国がこんなに大きい計画を立て、速く実行したために、日本企業に多くの機会が与えられた。中国は一部の設備、製品を日本から輸入する必要があるし、中国への投資でも新たな機会を見つけることができる、と。この点は、日本の各界も重視している。

    司会者:私はこのような感じをもっている。金融危機がやってきた時、日本はこれをかわし、実質的打撃を避けた。彼らはまた、金融危機の後どうすべきかを考えている。これらはわれわれとしても特に学ぶべきものだ。

    崔天凱:日本は自らの経験・教訓からもいくらか学んでいる。みな日本には失われた10年、バブル経済があったと言う。日本にとってその打撃は確かにかなり大きかった。しかしこの過程で、日本は経済構造を調整し、金融機関の不良債権を整理した。ある意味で、それは今回の金融危機に事前に備えることになったと言える。また、日本企業はもともと受容能力が比較的強い。日本の企業は全体的に、物事を進めるときかなり慎重で、大きなリスクに対しては比較的慎重な態度をとっており、それはリスクを回避するのに有益である。

    司会者:ネットユーザーemilia0406はこう質問している。あなたはかつて、中日関係で最も心配しているのは「相互間の信頼」問題だと話したことがあるが、なぜこうした心配を抱くのか、どうすれば相互信頼を増進できるのか。

    崔天凱:中日間の相互信頼は確かにあまり深くなく、比較的弱いとさえ言える。それには多くの原因がある。歴史上の原因もあれば、現実における利害調整の問題もあり、さらに両国間の相互理解の問題もある。しかし国家間の付き合いや協力は、人の付き合いと同じで、相手に対する基本的信頼がなければ、協力パートナーになるのは難しい。この問題が解決されなければ、必然的に中日関係の長期的、健全な、安定した発展に影響する。私がこれを最も心配すべきものと考える理由も、ここにある。むろんこの数年、双方の努力によって、この問題はいくらか好転し、双方の相互理解と信頼は増している。しかし両国関係の重要性に比べ、二つの国の関係発展の潜在力に比べ、さらに両国国民の期待に比べれば、まだまだ不十分だと思う。だから一層の努力を払うべきで、双方が共に努力すべきである。

    むろん、この努力は各方面のものであってよい。例えば両国の指導者が恒常的に行き来し、顔を合わせることは、両国間の戦略的相互信頼に役立ち、双方にはそのようにする意識が確かにある。また両国政府の各省庁、各方面の間の対話、協議、調整も現在わりあい密接である。一方、基礎になるのは両国国民間の相互理解であると思う。最近数年、両国関係の改善に伴って、両国国民間の往来は大幅に増えている。私は日本で、学生を含め国内の各地、各界、各方面から来た代表団をもてなしている。

    東京で中国の大学生や中学生をもてなしたことも、わが国の小学生をもてなしたこともある。彼らは私にこう言った。日本に来て、一層直観的な理解が得られた。特に今日の日本と日本人がいったいどうなっているか、一層直観的な理解が得られた。ある中学生は国に帰ってから、私に手紙をくれた。そして学校に戻った後、先生や級友たちに日本での感想をどのように紹介したかを話してくれた。これらを小さい事と考えてはいけない。大変役に立つことだ。両国人民間の信頼、理解が深まってこそ、二つの国の関係は強固になる。だから今後もこのようなことをもっとやらなければならない。

    司会者:日本にもこういった活動があり、国民の中国に対する理解にはこのような変化があるだろうか。崔大使が仕事や生活の中で接触した政府関係者や各界の人々は、市民を含めて、中国を理解していないのではないか、または理解が全面的でないのではないか。

    崔天凱:理解があまり全面的でない問題は両国にあると考える。先ほど述べたように、わが国の各方面の人が日本に行って、こうした理解を深めている。日本にも同じような必要性があり、しかもある程度において、日本のこの方面の必要性はわれわれより大きいと言える。私は日本、特に地方で、多くの一般国民と接触しているが、日本の普通の市民はとても善良で、中国の文化をとても尊敬していると思う。多くの人が最初に言うのは、私たちの文化は、昔は中国から来たということだ。さらには寺院を訪ねると、住職たちはみな、われわれの寺は開祖が中国から帰って建てたものだ、さらには中国の高僧が建てたものだと言う。

    また、日本の政府関係者や新聞記者は中国を訪れたことがあり、中国のことはいくらか知っている。しかしこの理解はまだ不十分で、あまり全面的でなく、あまり深くないと思う。これはメディアと関係があるかもしれない。メディアは本当に正しく、全面的、客観的に中国を紹介しているかどうか、率直に言って、日本のメディアはなお改善すべきところがある。多くの日本人の中国に対する印象は全体的にはかなりよく、中国の文化、歴史についてもいくらか知っており、これは欧米の国民と違うところである。

    しかし同時に、中国の方向について、われわれが世界に宣言している中国が平和的発展を実現しようとしていることについて、また中国の外交政策、国防政策、中国国内の現在の経済・社会発展などについて知っていることも、全面的ではなく、なかにはミスリードされていることもある。こうした状況には私もぶつかっている。大使館では、日本の各界に向かって、中国の真実の状況を少しでも多く紹介するようにしたい。また私は、もっと多くの日本人が中国を見て回るよう希望している。中国に行ったことがあり、中国の各方面の人々と接触したことのある人がわれわれに語る中国についての印象は、わりあい実際に近く、客観的である。

    司会者:このような日本国民に出会って、彼らがよく理解していないか間違った理解をしていたとき、どうされるか。どのような方面で両国、とりわけ国民間の交流を促進すべきだとお考えか。

    崔天凱:私も仕事をするとき、よくいろんな行事に参加し、日本の学者、記者、さらには政府関係者からいろんな質問を受ける。明らかに理解不足のこともある。そんな時、私の仕事は、全力を挙げて中国の真実の状況を紹介し、中国の政策、立場と見方をはっきり説明して、中国の真実の状況と考え方を知るのを助けることだ。むろん、これには終わりがない。一つの問題に答えても、新しい問題が出てくるかもしれない。しかしこれをたゆまず続けていけば、比較的よい効果が得られるはずだ。私は特に両国のメディアがこのような仕事をするよう希望する。客観的にみて、中国のメディアは他国の実情を紹介する面で、比較的好意的だといえる。しかし西側メディアの一部である日本のメディアには、問題のあることを報道すべきだという考え方がある。言い換えれば、よいことは多く報道したがらない。悪いことが起きると、比較的人目を引き、みんなの注目を浴びると考えて、少しでも多く報道しようとする。

    司会者:ギョーザ事件はその典型ではないのか。

    崔天凱:そう、ギョーザ事件は一つの代表例だ。これはもともと刑事事件で、両国の警察も協力を強め、できるだけ速く解決したいと考えている。それ自体に一定の難しさがある。しかし一部メディアの報道によって、この事件はいわゆる中国食品の安全問題にされた。食品の安全は一つの範疇の事柄で、刑事事件は別の範疇の事柄だ。日本政府の統計では、中国から輸出される食品の合格率は日本の輸入食品の中でも高いものの一つだ。メディアの報道によって、日本の大衆の間で、中国の食品の安全に大きな問題があるという誤解が生まれた。しかし実際の状況は必ずしもそうではない。

    司会者:彼らの誤った報道によって、中国食品は日本で危機にぶつかったというべきだ。この危機を前にして、われわれはどうすべきだとお考えか。どのようにして日本国民に中国の食品が安全なことを信じさせるか。

    崔天凱:やはり事実を語るほかない。両国政府は食品安全問題で協調と意思疎通を強め、長期的な仕組みづくりをめざしている。また輸出を通して、中国の食品が安全なことを日本人に証明することも必要だ。私は山東に行った。大量の食品が日本へ輸出されているからだ。関係者は日本側が世界で最も厳しい基準を求めたとしても、それを達成する自信があると言っていた。これは大変よいことだと思う。山東その他の地方は言ったことを事実によって証明するものと信ずる。

    日本のメディアの報道にはむろん、独自の考えと理念がある。私が日本のメディアに言いたいのはこういうことだ。メディアはむろん、世界における暗い面をあばき、人々の関心を引き、これらの問題を解決すべきだ。それは間違っていない。しかし社会は多面的なものだ。今日情報は発達しているが、一人一人の大衆個人が知ることのできる情報は限られている。その限られた情報の中で、社会をより全面的に理解させるのは、メディアの果たすべき責任である。暗い面やマイナス面だけを報道するならば、大衆に客観的事実を全面的に理解させることはできない。それでは大衆の知る権利に影響しないだろうか。これは一つの社会的責任であり、メディアもこの問題を考えるべきではないか。

    司会者:わが国の隣国の一つ日本は、周辺外交の中の一部でもある。当面の新しい情勢と背景の下で、わが国の周辺外交の全体的情勢はどうか。それに対応するわが国の政策的立場はどのようなものか。

    崔天凱:中国はアジアの国であり、だからわれわれの周辺とは主に周囲のアジア全体を指している。このアジアは大きい範囲のアジアでありうる。わが国と周囲の諸国は多くの共通の問題を抱えており、共同で対応する必要があると言うべきで、これは中国と周辺諸国を結びつけている紐帯である。このような発想から、中国は周辺諸国との関係を重視してきた。わが国が多くの努力を払い、隣国も多くの努力を払った。だから全体的に、わが国と隣国の関係は比較的よいと言える。それは各国がみな、このような共通の利益があり、共通の必要性があることを認識しているためだ。

    安全保障にせよ、経済発展にせよ、中国の一人勝ちは不可能であり、周囲の隣国が中国を抜きにこれらの目標を追求するのも不可能だ。みんなが一緒に追求してはじめてウィンウィンの結果を実現できる。周囲の多くの国は経済・社会の転換期にあり、矛盾があるのは避けられず、われわれはいつもメディアから、この国でどんな問題が起き、あの国がどんな困難にぶつかっているかをみている。多くの物事は波状的に進むもので、順風満帆、直線的に進んではいない。周辺の隣国が問題にぶつかっても、地域全体が問題にぶつかっても、中国としてはつねに、隣国と一緒に方策を考えたいと思っている。わが国の周辺に対して、隣国に善意で対し、隣国をパートナーにするという2点をきちんとやれば、わが国と周辺諸国の関係は一歩一歩前進を続けると信ずる。私はこれに大いに自信をもっている。

    司会者:6カ国協議で、あなたは議長国代表団副団長として、共同声明草案づくりに全力であたられた。最近、朝鮮はたえずミサイルを発射し、核実験を行っているが、これをどうみておられるか。

    崔天凱:まず当時6カ国協議の中国代表団には副団長というポストがなかったことを説明しておきたい。私は代表団の一員として、確かに6カ国協議に何度も参加し、2005年「9・19共同声明」の起草作業にも参加した。中国が議長国で、われわれは確かに大きな努力払った。当時の成果は6カ国共同の努力のたまものでもあった。6カ国協議は協議一致方式で作業を進めており、一国でも同意しなければ共同声明はまとまらなかった。6カ国が共に努力したというべきだ。半島の平和・安定維持、半島の非核化、北東アジアの安全保障の仕組みづくりなど、共同声明でうたわれた目標は各国が共に追求する目標であり、この点は現在も変わっていないというべきだ。

    6カ国および地域全体と国際社会が望んでいるのも、みんなの共通の利益である。しかしこの過程には曲折があり、常に困難にぶつかり、逆戻りがあり、さらには停滞することもある。われわれはむろんこうした状況が生じるのを望んでいないが、それが生じるのは予測できるというべきだ。この問題が朝鮮戦争終結から現在まで、こんなに長い間解決されなかったのは、問題が比較的複雑で、また難しかったからだというべきだ。現在一つのテーブルについて共同でこの問題を解決できるようになったのは、一つの前進というべきで、話し合いが続けられるなら、一歩一歩目標を実現できると考える。むろん、この6カ国の考えにはそれぞれの重点があり、カギは6カ国が共通点を見出し、利益の接点を見出し、共通利益の目標を見出すことである。朝鮮の核実験については、外務省が当時声明を発表して断固たる反対を表明し、わが国は国連の安保理決議にも賛成票を投じた。

    同時に朝鮮半島は平和・安定を維持しなければならない。まず朝鮮と韓国は平和・安定がなければ、最も直接的な影響を受ける。その隣国である中国も、当然大きな影響を受ける。米国、ロシア、日本も影響を受けるだろう。さらには北東アジア地域全体の将来の発展、安全保障環境もすべて影響を受けるだろう。だから国際社会には北東アジアに戦乱や不安定が現れるのを本当に願っているものはいない。現在困難にぶつかっていても、われわれの目標と方向はやはり堅持すべきだ。中国はこのために多くの仕事をしており、これからもそうする。この問題を解決しようと言うなら、対話、交渉以外に、よい方法はない。対話、交渉は困難だろうが、最後には、これが功を奏することのできる、長期的にみても最もコストの低い唯一のものであることが証明されるだろう。

    司会者:在外大使の職責の一つは、国益を守ることにほかならない。東海、釣魚島のような問題に対する時、日本側にどうわが国の立場を説明しておられるのか。

    崔天凱:在外大使の職責は結局、国益擁護の一言につきる。これは最も重要で、また根本的なものだ。むろん、国益の擁護にはいろいろな側面がある。いま言われたものも領土、海洋権益問題にかかわっており、非常に重要な側面である。どの国にとっても、主権と領土保全は核心的利益である。だから在外大使としては、核心的利益の問題では国益を確固として守らなければならず、それは少しも疑いないことだ。むろん、みんなも知っているだろうが、釣魚島の帰属問題、東海の境界画定問題で、中日間に異なる立場があり、それは長年存在してきた。われわれこの仕事に携わるものは当然、たえず日本側に対し、また国際社会に対して、わが国の立場を説明する必要がある。わが国の立場には十分な歴史上、法理上の根拠があると考えるからだ。われわれには道理があり、中国人は道理道を行く〈道理があれば天下を闊歩できる意〉と言う。全世界にわれわれの道理をはっきり説き、この問題を交渉によって解決すべきである。むろん、短期間には解決できないかもしれない。こうした問題で二つの国に争いがあるとき、一般には比較的難しく、かなり長い期間を要する可能性があるからだ。しかしうまず弛まず交渉を通じてこれらの問題を解決しなければならず、それはわれわれ在外公館がやるべき仕事でもある。

    司会者:あるユーザーは「釣魚島問題を解決しなければ、中国人は心が穏やかでない」と言っている。これは多くの中国市民の心の声かもしれない。多くの場合、崔大使が他国のメディアや国民と対しているとき、あなたの後には幾千万の中国市民が控えている。そのような時彼らの声をどう理解し、扱っておられるか。

    崔天凱:おっしゃる通りだ。われわれは対外的な仕事をする時、つねに背後にいる13億人のことを忘れてはならない。特に領土や海洋権益にかかわる問題には、国民が注目している。これらの問題が今も存在するのは、歴史上、わが国が長い間貧しく弱くて、列強の侮りを受けたことと大きな関係がある。わが国の今日の発展を通じ、対外活動を通じて、これらの問題を徐々に解決するには、一定の時間が必要かもしれない。しかしわが国の方向と目標は明確である。われわれは交渉による解決を主張しており、この主張も明確である。「心が穏やかでない」ことについては、釣魚島問題が解決されなければ、みんなは心が穏やかでないだろうが、われわれ第一線の職員は、もっと心が穏やかでないというべきだ。どのように解決するか、軽重緩急はあるか、どの問題がより差し迫り、より解決の可能性があるかを整理するのにも時間がかかる。すべての問題を一夜のうちに、心が穏やかでないあらゆる問題を解決しようと言うならば、それはあまり可能性がないだろう。だから、われわれはたゆまず、足を地につけてこれらの問題の解決をはかる一方で、軽重緩急を分ける必要もある。

    司会者:われわれはあなたが汶川映秀鎮に行き、大使館を代表して献花したことを知っている。昨年の5・12地震の際、日本におられたが、中国のこの災難に対する各界の反応はどうだったか。

    崔天凱:5・12汶川地震発生後、日本各界の反応は迅速で、その日すぐ各界から電話がかかってきた。大使館に駆けつけて要すをたずね、お悔やみ・見舞いを述べ、同情を表す人もおり、その数はどんどん増えていった。およそ2、3週間、私は毎日、30分に一組の割合でこれらの人々に会っていた。政治家も、企業家も、一般の市民もおり、主婦も小学生もいた。見舞いを述べ、寄付をし、自分たちに何ができるか尋ねた。救援隊と医療隊も派遣された。日本の救援隊は外国の救援隊の中で最初に四川に着いた。一部の市民は自分もそう裕福ではないのに、被災地に多額のお金を送った。多くの政党の指導者が自ら募金箱をもって街頭に立った。これらはとても感動的なことだ。さらにある政治家は自ら団を組み、飛行機をチャーターして、日本から四川に直接テントを運んだ。日帰りで、苦労して、テントを四川に届けた。

    わが国は当時、全国哀悼の日を設けた。その数日間、わが大使館も日本の市民が弔問できる場所を設置した。一度設置すると毎日人が訪れて、なかなか取り払えず、2カ月余り続けた。私はまた、小学生に直接応対した。東京以外からも来て、以前地震が起きた新潟県の人もいた。代表を送って、ずっしりと重い布の袋を手渡した。それは小学生の義援金だった。すべて硬貨で、子供たちの小遣いだ。われわれはこれを国内の被災地に届けた。これらはすべてわが国の地震発生に対する日本各界の大きな関心と同情を示すもので、大きな援助でもあった。

    今年1月までに、わが国の被災地から4次の代表団が防災、災害復興の視察に訪れ、日本の各方面はとてもよくもてなし、経験を紹介してくれた。私は四川で、視察に行ったこれらの人と会ったが、日本で知ったことは復興に大変役立っていた。私は5月に帰国した際、四川を訪れ、大使館を代表して献花し、お悔やみと見舞いを述べた。四川で撮った写真は、日本に持ち帰ると、強い関心を呼んだ。双方のこの分野の協力はさらに、われわれの多くの仕事を促進することになった。

    司会者:日本のこうした反響は、地震国であることから、地震による心の傷をよく理解できるためではないのか。

    崔天凱:そうだ。彼らは防災、震災復興面で多くの経験を積んでおり、他国のこうした災害に対する感じ方は普通の国とはちがう。これが一つの原因。もう一つの重要な原因は、汶川大地震が胡錦涛主席の公式訪問成功の直後に起きたことであると思う。胡錦涛主席は5月10日に帰国している。胡主席の訪日は非常によい影響を与えており、訪問の熱気がまだ残っていて、日本各界が中国を援助するうえで大きな影響を与えたというべきだ。胡主席はその後訪日したとき、救援隊、医療隊の被災地での活動の写真をCDとアルバムにまとめて関係者に贈った。日本に着いて最初に会ったのも救援隊だった。

    司会者:5月の帰国は数日もなかったが、山東、四川、上海を行って写真をとった。大使館に展示コーナーを設けて、来客がみられるようにした。これも中日交流促進の方法だろうか。

    崔天凱:5月に帰って、国内の多くの地方に行ったのは、第一に自分にとって国情を知る必要があったからだ。外国に勤務するわれわれは、業務の性質上、大部分の期間海外にいる。国内自身の経済・社会発展はどうか、市民はどのような考えや要求をもっているか、特にわれわれの日本での仕事にどのような考えをもっているか、職務報告休暇を利用して知りたいと思った。地方を回れば、より全面的により多くわかるかもしれない。もう一つは、四川大地震への対応など中日協力を含めて、わが国の真実の状況を後日、日本に紹介するためだった。山東からは農産物が日本に輸出されている。上海万博もある。上海万博日本館の建設は極めて順調で、それは中日の協力促進に積極的役割を果たしている。

    司会者:どの人もその在職期間中、自分の仕事について一つの構想を持っているはずだが、大使は各分野の中日交流促進で、どのような構想をお持ちか、どれは実現し、どれは実現していないか。

    崔天凱:大使の海外における仕事では、まず国内の指示を尊重し、中央と外務省の全体的配置に従わなければならない。具体的方法はそれぞれの大使の状況が違うので、少し違うかもしれない。一人一人の大使が置かれている状況は違っており、一つの段階にはその段階の活動の重点があり、とられる方法も活動の重点と目標によって大きく左右される。私も赴任後、在任中に、少しでも多く日本を知りたいと考えた。日本はいったいどのような発展状態にあるか、今日の日本の社会はどのようになっているか、今日の日本人は何を考え、何をしているか、中国をどのようにみているか。両国関係の発展についてどんな希望をもっているか。日本で各界の人々とより幅広く接触して、これらのことを十分に知りたいと思っている。だから、日本の47都道府県をすべて回るという構想をもっていた。むろん、まず業務の必要に合わせなければならず、一部の地方との往来は少し多くなるが、私はまだこの願いを抱いており、できるだけそうするよう努力したい。

    司会者:前回の万博は日本で開かれた。わが国は来年万博を開催するが、日本から経験を汲み取れるとお考えか。

    崔天凱:日本の愛知万博は2005年に開かれた。この万博は大成功だった。だからわが国の万博の多くの主管機関が愛知の状況を知ろうとした。日本の経験はわが国にとって大いに参考になる。万博には大勢の人が詰めかけるため、人が多くなったらどうするか、どう整理するか、天気は比較的暑く、多くの人が一カ所に集まるが、どう暑さを防ぎ、温度を下げるか、さらに万博の施設をどのように配置するか。大きな万博を開きたいが、環境もできるだけ良好な状態で維持したい。万博後も引き続き施設を利用する―などなど。日本にはよい経験があり、われわれの役に立つ。上海万博はその規模と人数において愛知万博を超え、中央、上海の各主管機関は多くの方法を考えている。上海に行くたびに、私は万博の準備状況、特に日本で何をする必要があるかを知ろうとした。現在建設中の日本館は省エネ・環境保護という特色を非常に重視している。だから日本館に省エネ・環境保護面で独特の方式や先進的経験が導入されるよう望んでいる。それは上海万博の一つの焦点になるだけでなく、上海や他の地方が持続可能な発展を実現するうえでも大いに意義がある。

    司会者:現在、多くのユーザーは日本の国内情勢にも関心をもっている。みなが知っているとおり、この数年、日本の政界は混乱が続き、安倍、福田氏が就任後まもなく辞任し、現在麻生政権もかんばしくないようだ。このような中で、野党が政権をとった場合、中日関係にどのような影響を与えるとお考えか。

    崔天凱:日本でまもなく総選挙が行われる。むろんこの選挙は日本の内政であり、むろん日本人自身が決定する。多くの人が関心を寄せており、私が今回帰ったときも、多くの友人が、日本の総選挙後、中日関係は影響を受けるだろうかと聞いてきた。新し事態が生じるかもしれないと思う。総選挙後、政府の構成が現在と完全には同じでないならば、処理すべき新しい問題が出てくる可能性があるからだ。しかしファンダメンタルズが大きく変わることはないと思う。中日両国は長期の、健全で、安定した関係を発展させなければならず、これについては両国間に共通認識かあるからだ。私は日本で各政党と接触しているが、この問題では共通認識がある。彼らは、各政党は多くの内政問題で多くの違った見解をもち、対立さえしているが、中日関係の発展という点では一致していると言っている。もちろん、われわれ大使館も選挙の進展を見守り、日本の内政にどんなことが起きても、両国関係の安定した発展が維持されるよう希望している。これはわれわれが当面やるべき重点活動の一つである。

    司会者:ユーザーは崔大使個人のことにも強い関心をもっている。履歴書をみると、非常に輝かしい。ホプキンス大学の優等生で、流暢な英語を話し、国連問題に精通している……。日本では23の県を回るだけでなく、多くの講演をしておられる。ネットでは「崔氏流」の演説が伝えられている。ユーザーの「王家財」は、あなたは自分をどのように評価しているか、自分は本当に凄腕だと考えているかと質問している。ある日本の記者があなたは手ごわい相手だと言っているからだ。メディアとの付き合いの経験を共有できないだろうか。

    崔天凱:この問題は少し詳しく語りたいと思う。はっきり述べたいと思う。まず、私は現在のこの仕事を大変愛している。大使になってからだけでなく、大使になる前、外務省で普通の課員だった時から、外交という事業を愛していた。外交の隊列には、私のような者はたくさんおり、私はその中の一人にすぎない。われわれは大国または比較的注目される国に勤務していることから、比較的市民の注意を引きやすい。実際、外交の隊列では、ほとんどの人、幾世代もの人が、長年にわたって発展途上国や中小国に勤務している。これらの国は報道メディアの注目の的になることは少なく、だからそこに勤務する彼らがメディアの注目の的になることも少ない。しかし彼らはそこに勤務し、多くの努力と貢献をしている。さらには多くの人が戦乱地域、疾病地域、条件の厳しい地域で、ほとんど生涯にわたって勤務し、世に知られることもない。しかし彼らがやっているのは中国外交の基礎的仕事であり、これら発展途上国と中国の友好関係がなければ、中国外交の今日のよい局面はなかった。彼らはメディアの焦点にはなっていないが、手ごわい相手というなら、彼らは私よりもっと手ごわいはずだ。この点は必ずはっきり言わなければならない。

    もちろん、われわれ外交官、特に在外大使は、外国においては国を代表している。つまりそこでのあらゆる活動は個人の活動ではない。自分の背後はわれわれの国家であり、背後に13億の人民がいることを片時も忘れてはならない。だからたまに一人で静かにしていると思い出す。小さいころ、新聞が当時の大使や外交官について報じているのをみると、遠い存在と感じ、非常に尊敬したものだ。今日このポストに就いて一つの責任感を感じている。解放初期の大使は、多くが百戦錬磨の将軍で、経験の深い老幹部だった。いまはわれわれがこの仕事をしている。むろん、時代は変わったが、われわれは彼らのように使命を辱めないことができるだろうか。特に大使は片時もこのことを忘れてはならない。だから自分をあまり大きく見てはいけない。この「小我」〈いち個人をさす〉は小さいほどよい。対外的付き合いでは、多くの場合、私は中国を代表しており、私が発言し行動するとき、外国の市民であれ、政府であれ、中国を代表していると考える。

    だからこの「大我」〈大使の職をさす〉は必ず十分でなければならない。大使の前には、特命全権の4文字が付いている。われわれが大きな権利をもつことを物語るのではなく、重い責任を負っていることを物語るものだ。この「大我」を常に銘記しなければならず、「小我」の影響を受けてはならない。「小我」の妨害が小さいほど、「大我」はうまくゆく。むろん、このことは努力目標で、終わりがなく、生涯追求しなければならない。

    報道メディアとの付き合いについて、私はずっと一つの考えをもっている。メディアの人は、国内メディアの友人であれ、海外メディアの友人であれ、大多数の人は自分の仕事をよくやりたいと考えていると言うべきだ。報道についての考えは、中国と外国で違うかもしれない。または本人の政治観点や問題についての見方は違うかもしれないが、大多数の人は敬業精神をもち、この仕事をよくやろうとしている。

    もちろん、すべてのメディアの人にわれわれと同じ見解をもつよう求めることはできないが、われわれの責任は平等で、率直であることを基礎に、自分がこのことをどうみているか彼らにできるだけはっきりと話し、出来る限りその理解を得るよう、少なくともそのことを知らせるようにすることだ。そうしてはじめて彼の報道はわりあい客観的なものになる。だからメディアとも相互の平等で率直な交流という問題が存在する。外交官とメディアは対立するのでなく、互いに補いあうべきだと思う。外交官がどんなによく話し、十分に話しても、メディアが報道してくれなければ、その影響は極めて限られたものになる。またわれわれがメディアに十分立場を説明していなければ、その報道は全面的でないものになる。だから互いに補いあい、さらには互いに助け合う必要がある。外交官として、現在の状況下で、メディアとどう付き合い、メディアをどううまく使うかを理解することは、われわれ多くの外交官にとって一つの課題でもある。もっと多くのメディアの皆さんがわれわれと交流し、そうした機会をもっと多く与えてくれるよう希望する。私は日本でメディアに言っている。誰が私を取材しようとしても、時間があるかぎり可能だ。どんな質問をするか制限しない。どんな質問をしてもかまわない。可能な限り、われわれの見解をお話しする。

    司会者:あなたがメディアに対し余裕綽々であるのは、外務省報道官を務めたことと関係があるのか。

    崔天凱:余裕綽々とは言わないが、メディアに対しては自信をもっている。国際問題であれ、二国間問題であれ、私が話すのは個人の観点ではなく、その問題に対するわが国の見解であるからだ。わが国のこれらの政策、これらの問題における立場はすべて真剣な検討を経、客観的な評価を経ており、道理があり、国際的に通用するものであると思う。道理道を行くといい、道理がある以上、恐れる必要はない。われわれにとって、一つの道理のある事柄をどのようにはっきり説くかは、一つの挑戦〈試練〉であり、われわれがたえず高めていくべきものでもある。

    司会者=コーラボーイ:日常仕事をしている時、他の人よりも重圧を感じておられるか。駐日大使になったあと、日本の民族に対する見方にどんな変化があったか。

    崔天凱:中日関係は特に注目されており、重圧というなら、確かにわれわれにとって一種の重圧というべきだ。しかしこの重圧は悪いことではない。こうした重圧があれば、われわれは多くの問題をもっとよく考え、もっとよく知るようになり、物事の処理にもより強い責任感をもつようなり、それはよいことだと思う。外務省には年中対日業務に携わっている多くの人がおり、その日本についての理解は私よりずっと深い。私はまだ、片方の足は門の内、片方の足は門の外〈半ば素人の意〉で、日本に勤務し、皆さんの援助と自分の努力によって、少しは分かったが、煮詰まった見方があるとはとても言えない。私が行って1年10カ月になるが、世界の各民族にはそれぞれの長所があり、日本という民族も例外ではない。多くの点を学ぶことができる。例えば物事に対する真剣な態度、その敬業精神だ。どんな職業についていても、小さな仕事する時も真剣にやっている。

    日本に行ったことのある人は知っているかもしれないが、商店では、店員の応対が大変よく、とても丁寧だ。日本でなにかを修理する場合、少しもいい加減にはしない。また、交通規則を順守するなど、社会全体に秩序を守る意識がある。東京で私は基本的に、自動車が歩行者と道を奪い合うのを見たことがない。いつも歩行者に道を譲っている。また社会全体の資源節約、エネルギー節約、環境保護意識は非常に強い。四川大地震の後、われわれは日本で調査研究をしたが、社会全体の防災意識が非常に強いことが分かった。日本の学校では、小学生を含めて、地震や何かの災害が起きた時どうするか教えている。どの家庭にも非常用リュックがあり、中にはビスケット、水、懐中電灯が入っている。この点もわれわれは学ぶべきである。わが国も自然災害が多いからだ。みんなの防災意識が強ければ、万一天災が起きたとき、少なくとも損失を減らすことができる。これらの点ではすべて日本の経験を参考にできると思う。

    司会者=ユーザー大企鵝7:大使、こんにちは。日本はわが国と一衣帯水の隣人で、歴史上、日本は中国から学び、その後西洋から学び、近代に強国となり、第二次大戦でわが国に大きな苦難をもたらした。戦後、日本はまた強大になった。今日、デジカメや家電から自動車まで、中国人の生活のいたるところで日本製品をみることができる。ソニー、東芝、日立、三菱、ニッサン、スズキなどわれわれはよく知っている。そして便利な日本製品の恩恵を受けている。それは日本の製品だけだろうか。そこには一国の経済力が現れるだけでなく、一国の総合力が現れていると思う。日本はこんなに重要な国で、こんなに特色のある民族で、しかもわが国に近いのに、われわれは日本の国情、文化、政治などいろいろな面についてあまりにも知らず、さらには少しも理解していないと言える。それではいけないと思う。お尋ねしたいのは、どうしたら本当の日本を知ることができるかということだ。

    崔天凱:最も直接に知るには、日本を見て回ることだ。現在、中国から日本観光に行く人は増えており、日本も観光立国のスローガンを掲げて、世界各地、特に中国から観光客を誘致しようとしている。わが国の観光客は、人数が比較的多く、また購買力が比較的強いため、日本にとっては大きな魅力である。これは一つの方法だが、もちろんすべての人が日本へ観光に出掛けるわけにいかない。メディアでの紹介を含め、日本に関する書籍をもっと読むようにしてもよい。また多くの日本人が中国で仕事をし生活しているので、身近な日本人を通じて知ることもできる。たしか2年前、中央テレビがシリーズ番組「岩松のみた日本」を放映したが、あの番組は日本社会をかなり全面的に紹介しており、これらの方法を通して日本を知ることができると思う。

    司会者:外交官という職業、とりわけ在外大使というと、多くの人が神秘なものと思い、また憧れている。大使在任中、国益を守り、内外交流を促進するため、どうすれば優れた在外大使になれるか、感想を話していただきたい。

    崔天凱:大使だけでなく、すべての外交活動に携わる人は、外交官として求められる最も基本的資質は、忠誠の2文字だと思う。外で国を代表するのだから、自分の国にさえ忠誠を尽くせないようでは、この仕事を立派にやれるとは考えられない。最近、テレビドラマ「潜伏」に人気がある。多くの人がその中からいろいろなことを感じとっているという。しかしわれわれ外交官にとって、最も感じとるべきは忠誠の2文字である。つまりさまざまの複雑な状況下で、つねに変わらずこうした忠誠を維持できるかである。これが第1の要素だ。

    第2に、一人の外交官として、世界を知らなければならない。現在世界の変化は速く、多くの新しいものがあるからだ。何も知らなければ、他の国と付き合うことができない。世界で付き合うにせよ、競争するにせよ、太刀打ちできない。第3に、やはり自分の国を知らなければならない。中国の外交官として、他国との協力を広げようとするとき、わが国の発展がどんな段階にあるか、わが国の発展はどのようなことを求められているか、どのような挑戦を受けているか、国民はどう考えているか、外交には何が求められ、期待されているかを知ってはじめて、狙いが定まるようになり、その仕事は本当に国家、民族に利益をもたらすようになる。

    第4に、不可欠な知識と能力をもたなければならない。例えば外国語を理解し、上手に使えなければならない。習得した外国語を使って地元の新聞記者と会見し、演説をし、質問に答えられれば、直接の交流効果は比較的よくなるはずだ。同時に各方面の知識を持たなければならない。現在の外交は政治問題を解決するだけでなく、つねに経済問題、金融問題、貿易問題、法律問題および環境問題、エネルギー問題、文化問題、気候変動、領事保護などの問題にも直面しなければならず、この方面の知識が足りなければ、この仕事をうまくやることはできない。だから外交官は非常に高い総合的資質の求められる職業であり、われわれのような人間も、比較的長い期間やっているが、いつも不十分さを感じており、たえず充電し、学習する必要性がある。

    司会者:時間の経つのははやく、ユーザーとの交流もまもなく終わる。最後にユーザーに一言お願いしたい。

    崔天凱:きょうは二人の司会者、ユーザーの皆さんと交流する機会にめぐまれ非常に喜んでいる。時間が限られているので、皆さんが関心をもつ多くの問題に触れられなかったかもしれない。私ももっと話したいことがあるが、ユーザーの皆さんとまた話す機会に回すほかない。ただ最後の少しの時間を使って少しお話したい。私は一つのことを感じている。つまりわが国では、ネットユーザーだけでなく、わが国の人民大衆、わが国の市民は、中国と外国の関係、世界と国際情勢全体の変化に強い関心を寄せ、強い興味をもち、また問題について非常によく理解し、見解を示している。ネット上で発表されたものでも、他のメディアに発表されたものでも、見識がある。これはわが国の大変よい資源で、中国外交の独特な資源だと思う。私の知るところ、

    こんなに多くの人がこのように外交活動に関心を寄せている国は、世界におそらくいくつもないだろう。これはわが国の外交にとって、厚い民意の基礎であるとともに、智力面の強力な支援である。われわれ外交に携わる者、外交の第一線で仕事をする者も、こうした資源をよく利用してわれわれの仕事を改善すべきである。今後もっと多くの機会が得られ、インターネットやその他のメディアを通じて、市民と交流し、皆さんの考えや意見をもっと聞いて、われわれの仕事が改善されるよう希望する。また皆さんが直接われわれと連絡する機会をもつよう希望する。わが大使館にもウェブサイト(http:// www. china-embassy. or.jp)があるので、皆さんがログインされるよう希望する。意見がある場合はフォーラムで述べても、私を直接指名してもよい。必ず返事をする。ありがとう。

    司会者:崔大使ありがとう。本日は、崔大使との交流を通して、中日の戦略的互恵関係を全面的に築き、周辺諸国との善隣友好関係を発展させる重要な意義を一層全面的に深く知ることができた。再度崔大使に感謝したい。われわれは中日両国人民の子々孫々の友好を願い、平和、宥和、調和、共同の発展と繁栄に基づく周辺環境を願っている。今回の交流はこれで終わる。



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