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中日科学技術協力の概況
2005/06/06
 1、歴史の概要  20世紀の60年代初頭、中日両国は民間科学技術交流を開始した。それはわが国の技術者が世界の科学技術の発展状況を知るための重要なルートの一つとなり、70年代まで続けられた。1972年9月29日、中日両国は国交正常化を実現させた。1978年日本政府が発展途上国と科学技術協力を行うための機構である日本国際協力事業団(JICA、2003年10月1日より日本国際協力機構と改名)が、中国との連携を開始した。1979年、国務院の承認をへて、国家科学技術委員会(1998年3月より科学技術部と改名)が日本の外務省およびその傘下のJICAとの技術協力関係を確立した。こうした協力は日本による対中技術移転を特徴とする、いわゆる『垂直型』の技術協力である。1980年5月、中日両国政府は『中日科学技術協力協定』に調印した。これ以後、両国政府は共同研究を特徴とするいわゆる『水平型』の科学技術協力を開始した。中日両国の科学技術交流と協力は急速な発展をとげ、規模はたえず拡大し、多形式、多ルート、官民一体の局面が形成され、中日友好関係の重要な構成部分の1つとなった。とりわけ技術協力面での成果が顕著で、わが国の社会・経済の発展、科学技術の進歩に積極的役割を果たした。  2、政府間協力  中日両国政府間の科学技術協力と交流は科学技術協定など政府間協定のもとで次第に展開されていった。現在、中日政府間の科学技術協力の主なものとしては、『中日科学技術協力協定』、『中日環境保護協力協定』、JICAを通じた技術協力、両国政府科学技術部門の直接協力、『中日原子力平和的利用協力協定』の5つの分野がある。双方の部門間の各レベルでの定期交流規模も次第に拡大し、実質的内容をともなう協力プロジェクトが増えている。基礎科学、地球環境、ソフト科学などの分野での協力が急増している。科学技術者の往来が次第に増えている。たとえば農業部、建設部、情報産業部、交通部、鉄道部、中国科学院などは、いずれも日本側と直接交流関係を確立し、定期的または不定期的なハイレベルでの対話、経験交流、協力についての検討などの実施を通じて、両国部門間の科学技術者の交流促進、共同研究展開などに大きな役割を果たしている。  ここ数年の中日両国高官の相互訪問も中日両国の科学技術分野の協力を推進することとなった。1998年11月の江沢民国家主席の訪日期間中、中日双方は『科学と産業技術分野での中日間の交流・協力を展開することに関する協定』、『21世紀に向けた環境協力に関する中日共同発表』に調印するとともに、科学技術プロジェクトを含む33件の具体的協力プロジェクトを画定した。2000年10月の朱鎔基総理の訪日期間中には『黄砂の形成・輸送メカニズムおよびそれが気候・環境に与える影響についての研究』取り決めに調印した。2003年10月には温家宝総理が中日韓指導者の第5回会合に出席し、日本の小泉純一郎首相、韓国の盧武鉉大統領と共同で『中日韓三国間協力の促進に関する共同宣言』を発表し、新たな世紀に3国の協力を一層推進・強化することの重要性を説き明かした。3国指導者は実質的な協力を着実に推進するため、3国は秩序をもって着実に前進し、まず簡単なものから着手して、次第に複雑なものへ向かうという方法で、たえず分野を開拓し、次第に深化させるという方式をとり、9つの大きな分野で3国の協力を展開・深化させることが必要だと強調した。この中には知的財産権保護、情報通信産業協力、環境保護協力、災害対策協力、エネルギー協力、科学技術協力、漁業資源保護など科学技術に関連する多項目の協力分野が含まれている。国家指導者の外国訪問を機に調印された科学技術協力協定・取り決めは、中国の指導者の外国訪問の成果を豊富にしただけでなく、中日両国科学技術界の協力を増進させるとともに、中日がハイテク分野での協力を展開するための良好な基礎をうち固めた。これらの協力協定・取り決めは、目下のところ順調に実施されている。  2003年2月に、中日科学技術合同委員会第10回会議が日本の東京で開催された。この会議の目的は中日協力の理念を転換し、プロジェクト協力の質の強化、中日協力関係のレベルアップをはかることで、積極的成果が得られた。双方は、中日科学技術協力は両国のみならず、東南アジア地区および世界全体の発展に重要な意義を備えている。今後双方は相互信頼を基礎に、『平等・相互利益』の原則に沿って、高水準の協力、高レベルの交流を重点的に展開すべきで、双方の大学、研究機関および産業界が積極的に協力に参加するよう促すべきだ、との考えを示した。双方は、今後日本の民間機構と企業は『協力機構』として、政府間のプロジェクト協力に参与し、国公立機構なみの待遇を受けるべきだ、との取り決めを行った。双方は第9回会議以降の140件の協力プロジェクトを回顧・総括し、そのうちの118件(うち52件は重点プロジェクト、66件は継続検討)の協力を継続することを確定した。双方はバイオテクノロジー、生命科学(農業・食品技術を含む)、情報技術(IT)、材料(ナノメータ)、環境とエネルギー、社会基盤技術の5分野を今後しばらくの重点協力分野とすることを確定した。  長年来、中日双方は農業と農業科学技術分野で幅広い協力を行ってきた。科学者の相互訪問、学術会議と技術訓練講座の共催などさまざまな方式で、良き社会経済効果と喜ばしい成果を収めてきた。中日両国は1997年~2003年度に中国の主要農産物の収穫量の安定化、農産物加工の新技術開発を目的に、モデル地区での食糧政策と農業構造の変化および食糧供給・需要の変化など7つのテーマについて、7年におよぶ各種形式の幅広い研究を展開してきた。中日専門家の共同の努力により、研究成果、人材養成、科学研究能力の向上などの分野で多くの成果が得られた。この間の研究成果は18件におよび、3件の特許申請、31件の新品種保護を獲得した。2004年9月14日、中日共同研究第2期プロジェクトの調印式が北京で行われた。これは中日の農業・農業科学技術分野での期間5年におよぶ新たな共同研究の幕開けを告げるものであった。  中日の情報産業分野での技術協力も急速に発展している。2003年9月、中国情報産業部は日本の経済産業省、総務省および韓国情報通信省と『7分野の協力に関する取決め』に調印し、3国が情報産業分野で実質的協力を展開するための基礎をうち固めた。2004年4月、中国情報産業部、日本国経済産業省・総務省および韓国情報通信省共催の『第1回 北東アジアOSS推進フォーラム』が北京で開催された。オープンソース・ソフトウェ(OSS)は、未来のソフトウェアの大方向となっている。オープンソース・ソフトウェを使用するオペレーション・システム(OS)は、情報交換、情報共有、ソフトの開発・応用などに優位性を備えている。会期中、三国は『オープンソース・ソフトウエアの推進に関する合意』に調印し、Linuxなどのオープンソース・ソフトウェの開発を基礎に、三国が規格制定、ソフト開発、普及・応用、認証業務、人材養成、知的財産権などの分野での交流・協力を推進していくことを決定した。2004年7月、中国情報産業部、日本総務省、韓国情報通信省は日本の札幌で中日韓情報通信大臣会合を開催した。3国は情報通信分野での協力をさらに強化することで合意した。3国は既存の7件の協力分野を修正し、『電子タグ/センサーネットワークに関する協力』を新たな協力プロジェクトに加え、今後はケーブル端末、センサー・ネットワークの共同研究・開発と実験・普及を通じて『ユビキタスネットワーク社会』の実現に共同で努力することを決めた。  中日両国の環境分野の交流・協力はめざましい成果をあげており、両国の相互協力のなかで、最も成果の上がった協力の一つだと言える。その特徴は交流人員が多く、レベルが高いこと、協力分野が広く、内容が豊富であること、幅広い科学技術協力であると同時に、実効性のある経済協力でもあること、などである。中日両国の環境分野の協力は、20世紀70年代にまでさかのぼることができる。1977年、日本環境代表団が初めて中国を訪問した。1994年5月、中日両国政府は政府間『中日環境保護協力協定』に調印した。同年12月、双方は北京で中日環境協力合同委員会第1回会議を開催し、一連の環境協力プロジェクトを確定した。1996年12月に開かれた第3回中日合同委員会は40件の中日環境保護科学技術協力プロジェクトを承認した。1988年、日本の竹下登首相は訪中期間に、日本政府の100億元の無償援助で、『中日友好環境保全センター』を建設したいとの提案を行い、中国政府もこれに積極的に応えた。このプロジェクトは1991年7月7日、中国の正式な承認を得て、建設が開始され、1996年5月に完成・供用された。現在、同センターは公害防止技術、環境モニタリング、環境情報、環境戦略・政策研究、要員研修、大衆への環境教育ならびに環境技術交流などの分野で重要な役割を発揮している。1997年9月、日本の橋本竜太郎首相は、訪中期間中、『21世紀に向けた日中環境協力』を提起した。中日友好環境保護センターのおかげで、中日間の民間環境保護協力は、いまや幅広い分野で展開されている。なかでも、人材養成、環境科学研究、環境教育などの分野では、地方での協力が広く展開されるようになった。2004年12月、第6回中日韓3国環境大臣会合が東京で開催され、3国は地球温暖化防止、温室効果ガスの排出削減に関して、各国がそれぞれ国内での措置を強化するとともに、国際協力を強化することで合意した。会議で発表された共同宣言は、3国の環境保護分野での協力を一層推進することを確認するとともに、東アジアでの酸性雨モニタリング活動を推進して、東北アジアの辺境地区、国家間にまたがる大気汚染の共同研究を積極的に展開し、さらに東北アジア地区での黄砂の問題に関連して、黄砂モニタリング・ネットワークの構築と情報共有で合意に達した。  このほか、中日科学技術協力は、林業、気象、海洋、エネルギーなどの分野での協力でもユニークな展開をみせている。たとえば、日中緑化交流基金は1999年、日本の小渕恵三首相の提唱をもとに、1999年日本の政府資金100億元で設立されたもので、日本の民間団体と中国社会の各界が展開する植樹造林活動支援に使われる。2000年から全国青年連合会と日本の11の友好団体が、3期にわたる造林プロジェクト実施のため、共同で小渕基金の支援を申請し、11の省・自治区・市で18件の生態緑化プロジェクトを完成させた。これによる造林面積は総計5000ha余りに及び、好ましい生態保護効果が得られた。2003年度の基金援助では、日本の43の民間団体が、総額4億5000万元を中国の緑化事業に用いた。中日気象科学技術協力は70年代に開始され、その後日を追って増えていった。中日気象科学技術協力プロジェクトの主なものとしては、アジアの季節風発生メカニズムの分析、気候変動予測モデル研究、チベット高原気象科学実験、農業気象などがある。日本の科学者は中国に自動気象ステーション2カ所と無線電信宇宙探査ステーション2カ所を増設した。また、1998年には台風の進路予測と台風進路の異常変動などの分野に関する研究成果を実際業務に応用し、顕著な成果を収めた。中日両国がここ数年、海洋科学技術協力分野で行ってきた大規模プロジェクトの中には、中日亜熱帯環流合同調査研究外業調査、中日亜熱帯環流合同調査研究プロジェクト作業グループ第2回会議、中日東中国海特定海域における河川流入海の環境負荷とその海洋生態系への影響、製塩工業副産物の利用などがある。  3、民間科学技術交流と協力  中日民間科学技術交流と協力は、中日科学技術協力の基礎をなすものである。その交流と協力は広い分野におよび、それに携わる人数も多く、かなりの規模に達しており、実質的内容を備えた協力プロジェクトも増加の一途をたどり、中国とのかなり高い水準の協力が開始されている。一連の大型プロジェクト協力の中では、技術的なものも次第に増えている。1998年の中日技術貿易の総額は17億㌦に達し、これまでに上海華虹NEC(0.35ミクロン64Mbit半導体チップ)、首都鋼鉄公司NEC(チップ)、上海ファナック(ロボット)、首都鋼鉄公司モーターマン(ロボット)、無錫シャープ(大画面液晶モニター)などの先進技術企業が設立されている。世界最大の移動体通信称されるNTT DOCOMOと日本コンピュータ研究所などのハイテク企業が最近、あいついで中国への投資を明らかにしている。日本での統計によると、現在、対中投資額が100万㌦越えているハイテク企業がすでに1000社以上に達している。このほか、中国が各種ルートを通じて展開している知力導入と技術研修も着実に発展している。中国は日本シルバーボランティアーズ(JSV)、海外貿易開発協会(JODC)、海外技術者研修協会(AOTS)、日本技術士会などの組織を通じて、毎年500人余りの定年退職した専門家を招き、中国の工農業生産と科学研究の第1線で、中国の技術革新、技術と経営管理経験を伝授してもらっている。これらの人々は大きな役割を発揮し、そのうちの一部の専門家は国家『友誼賞』や関係部門が発行する『国際協力賞』を授与された。たとえば、日本の専門家が導入したビニールフィルムによるマルチング、水稲の早期植え付け・疎植などの農業生産技術は、中国の農業生産の発展にきわめて大きな役割を発揮した。また、各種ルートを通じて多数の研修生を日本に派遣してきた。財団法人国際研修協力機構の統計によると、1992年から1998年までに、中国が日本に派遣した各種タイプの技能研修生は123、117人に達した。  ここ数年、日本の大企業がつぎつぎと中国市場に参入している。たとえば日本の住友商事と上海交通大学は、産学共同の技術開発、経済協力、人材養成などの全方位性産学協力取り決めに調印した。その目的は上海交通大学が持つバイオテクノロジー、ナノメータ新材料技術の多くの成果と知名度を利用してみずからの商業ルートを切り開くことである。双方は共同開発と委託研究、人材交流などの形式で協力を強化し、有望な技術開発プロジェクトに対しては、双方の共同出資で、中国に連携会社を設立したいとしている。このほか、日本のダイキンは空調技術開発の分野で清華大学と協力し、同校の校内に『清華ダイキン研究開発センター』を設立した。これは日本の空調企業が海外に設立した初の研究センターである。双方は各10人の研究員を派遣して、省エネ・環境保護タイプなど重要技術の研究を重点的に行う。東芝、リコー、富士通などの大企業が中国に研究開発センターを設立したのに続き、NTT DOCOMOは中日の民間レベルの情報技術分野での協力を強化し、第4世代移動通信(4G)および関連移動通信技術の研究を推進するため、北京に都科摩(DOCOMO)通信技術研究中心有限公司を設立した。日本のNECも2003年9月、北京の中関村に『NEC中国研究院』を新たに設立した。その研究・開発の重点は次世代代インターネット移動通信システム技術に置かれている。国内外から広く優秀な人材を集め、中国市場での需要に的を絞ったもので、この分野で世界の潮流をリードする技術研究開発機構にすることを目的としている。