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曾培炎元副首相の中日企業家及び元政府高官対話での演説
2015/11/24

第1回中日企業家及び元政府高官対話に参加できることをうれしく思う。まず福田康夫先生に感謝申し上げる。福田先生は長年中日友好に尽力され、特に、近年は両国関係のために積極的に奔走され、力を注がれた。また榊原会長及び日本経団連による今対話の計画準備への努力と周到な手配に感謝申し上げる。

中日民間経済交流は昔から伝統があるが、しかし今回の(官、民)二つのルートを合体した経済対話は初めての試みだ。中日経済貿易関係の発展におけるさまざまな問題をうまく解決するには、政府レベルの対話のほかに、民間による多様な対話の仕組みを確立する必要がある。今回の対話形式は柔軟性があり、深い交流で、独特の役割を果たすことが可能だ。中国国際経済交流センターは日本の経団連と手を携えて協力し、「中日企業家及び元政府高官の定期交流の仕組み」を確立し、両国の商工界が胸襟を開いて考え方と観点を交流するプラットホームを築き、両国経済・貿易関係を改善するための提言・献策をし、中日関係の健全で安定した発展を推し進めることを願っている。

現在、中日関係は複雑な局面に直面している。過去、われわれも政治周期(政治サイクル)を経験した。今回はさらに経済周期(循環的な景気変動、ビジネスサイクル)にぶつかり、現在は二つの周期が谷底で重なる時期だ。このため、われわれの困難は国交正常化以来なかったものだ。多くの企業家が中日経済貿易協力の将来に対し、漠然とした不安を感じているのも無理はない。ここ数年、私も時々これらの問題を考え、大まかだが幾つかの見解も持っている。

中日友好関係の黄金期は過ぎてしまったのか。中日両国はかつてのように相手国をまだ重要としているのかどうか。私は終始、中日関係は両国にとって、最も重要な二国間関係の一つだと考えている。中日関係は大局的であり、中日経済貿易関係はこの大局の中の礎石だ。国交回復以降、中日は友好が主旋律であり、商工界はこのためにたゆまぬ努力を払い、中日の発展、両国人民の福祉強化のために重要な役割を果たしてきた。特に中国の改革・開放以降、日本は対中貿易、直接投資、開発援助、科学技術協力などの方法を通じて中国の近代化建設に重要な支援を与えた。同時に日本も巨大な市場を得て、大きな利益を上げた。両国の経済貿易関係は長足の発展を遂げ、両国人民に実益をもたらし、中日関係の最も重要な安定化装置(スタビライザー)となった。隣人である以上、われわれの最も賢明な選択は永遠に良き隣人となることであり、これはゲーム理論の中で得られたウィンウィンの結果である。地域経済一体化の情勢の下で、両国の協力規模は一層大きく、分野は一層幅広く、程度は一層深くなるだろう。今後、中国がタイプ転換の発展を図り、日本が経済の活力を取り戻すには互いの支援と切り離すことができない。中日両国はすでにある定程度の利益共同体、運命共同体・責任共同体を形成しており、これは両国関係の大局が安定を維持する重要な基礎となる。双方は中日の四つの政治文書を踏まえ、「歴史を鑑とし、未来に向かう」精神で両国の友好協力を進めるべきである。

残念なことに、ここ数年、両国関係は挫折に遭い、経済貿易協力も低迷している。多くの企業家がこの点を憂慮している。しかし、一層憂慮すべきなのはこれを回避し、様子をうかがう態度が見られることだ。幾つかのマイナス思考が両国国民の間に広がり、政府機関の判断と経済の正常な取引に影響している。現在、両国の政治と経済・貿易関係はどちらの道を選ぶかの重要な岐路に差し掛かっており、われわれは様子見をし、待つことはできず、積極的に行動を起こし、成果を収め、自信を積み重ねるべきだと私は考える。これは中日関係の大局を共に守る正しいやり方であり、歴史が私たちに与えた重い責任でもある。まさに我々の先輩と同じように、中日国交回復の時期において、日本の古い世代の企業家と著名な人びとは多くの仕事をし、中日友好の推進者となった。双方の共同の努力により、現在、両国関係は徐々に困難から抜け出し、安定化の基調が現れている。われわれは「民間が先行し、民が官を促し、経済が政治を促す」優れた伝統を引き続き発揚し、対話と交流を通じて、信用強化、疑問解消、友好交流の活動を数多く行い、強大なプラスのエネルギーを放出し、中日関係改善のために原動力を絶えず注入すべきである。

企業家、とりわけ日本側の企業家の間に見られる考え方の傾向は中日協力の余地は狭まり、中国市場のチャンスは減っているというものだ。中国経済の下振れと投資環境の悪化はその中の二つの重要な注目点だ。現在、中国経済の発展は新常態(ニューノーマル)に入っている。短期的にみると、経済の下振れ圧力は確かに比較的大きい。しかし、中国の現在の財政状況と雇用状況は良好で、赤字と債務残高はいずれも安全警戒ライン内にあり、国民の貯蓄率と基準金利の水準は比較的高く、資金の流動性は比較的大きい。ゆとりのある財政・金融政策の余地は、短期的なレバレッジ解消や生産能力削減の必要性に十分に対応でき、同時に、革新駆動、構造転換のために比較的余裕のある切り替えの時間と窓口を提供することになろう。長期的にみると、中国経済は〈発展の〉大きな余地と強い靱性を備えており、都市化(町を含む)の推進、産業構造の最適化・高度化、国民所得の急速なの伸びはいずれも新たな投資と消費の成長ポイントを誘発し、経済発展のために持続的な原動力を与えるだろう。

「放った矢は戻ってこない」。改革・開放政策は変更されず、ましては後戻りすることはない。現在、一部の多国籍企業は中国の外資政策が引き締められたと感じているようだが、実際にはそれは誤解である。政府は国家ガバナンスの近代化に力を注ぎ、国際的な慣行規則に従い、統一した内国民待遇を推し進め、参入前内国民待遇にネガティブリストを加えた管理制度を実施しようとしている。このため、一部地方・業界の外資に対する「超内国民待遇」を整理し、また、存在する「低内国民待遇」を引き上げることを含め、従来の政策について統一化・規範化を進めることが求められる。一時的に幾つかの不適応を引き起こす可能性はあるが、改革の大きな方向は各種企業のために統一された、ガラス張りのビジネス環境を作ることであり、長期的に見るなら、競争力のある外資系企業が中国で発展するのに有利となる。中国は先ごろ▽電力、石油、天然ガス、交通運輸、電気通信などの分野における競争段階の価格を含め、競争分野の商品やサービス価格を全面的に自由化する、▽銀行、保険、証券、介護などのサービス市場への参入を拡大する、▽人民元の資本取引での交換性を秩序よく実現させ、人民元が交換でき、自由に使用できる通貨となるのを後押しすると発表した。これらはいずれも中国の改革・開放政策が今後も継続し拡大することをはっきりと示している。

先月末に開催された中国共産党第18期中央委員会第5回総会(18期5中総)では中国の今後の発展に対しての展望と手配を行った。「革新、協調、グリーン、開放、共有」の五つの新たな発展理念が打ち出された。総合的に判断すると、物質的基盤が厚く、人的資本が豊富で、市場の余地が大きく、発展の潜在力が巨大で、経済の発展パターンが急速に転換され、新たな成長の原動力が育まれ、経済が長期的に上向くファンダメンタルズは変わっておらず、中国は依然として発展のチャンス期にある。潜在的な経済成長率は低下するであろうが、今後5年は6・5%前後の伸びを維持することができ、2020年までに国内総生産(GDP)総量と都市・農村住民の平均所得を2010年の2倍にするという目標は実現可能である。これは日本を含む世界各国に巨大な需要市場、広々とした貿易の見通し、多くの投資機会を与えることになろう。

中国と日本は依然として発展段階が異なり、中国にはいかにして中所得のわなを乗り越えるかという問題、日本にはいかにして高水準の持続的成長を実現するかという問題がある。日本は工業技術、製品品質、企業管理などの面で中国と比べ顕著な優位性を備えており、両国の産業構造の相互補完は協力の見通しが明るい。

具体的に述べると、中日企業家はすでに現実のものとなった次の三つのチャンスを十分に認識し把握すべきだと私は考える。

一つ目は、都市化のチャンスだ。今後10年から20年の間に、中国の都市化率は70%に達し、毎年1000万人超の人が農村から都市に移る見込みである。中国の都市居住者一人当たりの公共インフラ資本ストックは先進国の3分の1足らずで、日本の17%にしか相当せず、今後5年で大幅に向上するに違いない。現在、中国は地下管路網の敷設、保障性(低所得者向け)住宅、スマート都市、無害化処理施設、都市総合交通ネットワークなどの建設を実施しており、同時に広大な農村地域で公共サービス施設建設が行われている。これらの分野には兆単位の投資需要が見込まれる。日本はすでに都市化プロセスを終え、省エネ・環境保護、インフラ、市政(行政)管理、都市の持続可能な発展などの分野で豊富な経験と技術を持っており、双方の協力には広々とした前途がある。

二つ目は、製造業の高度化改造のチャンスだ。中国の産業はミドルハイエンドの水準に向かい、製造業は高度化改造(の必要性)に直面している。一つは技術水準を大幅に引き上げること、もう一つは省エネ・環境保護の要求を満たすことだ。このため、中国企業は新たなラウンドの生産設備と生産工程の更新・世代交代の時期に差し掛かっている。日本にとっては優位性のある精密工作機械、機器・計器、スマート製造、クリーン装置、プラントシステムなどで大きな需要が生まれることになろう。

三つ目は、高品質(ハイクオリティー)消費のチャンスだ。2020年には中国の中所得層が4~5億人に達する見込みだ。同時にまた、高齢化社会に入り始めている。中国は間もなく「一組の夫婦に子ども二人を認める」政策を全面的に実施する予定だ。試算によると、2050年までに、15~59歳の労働人口が3000万人増える見通しである。これは人口ボーナスのための予備軍を提供できるだけでなく、現実的消費の成長点でもある。その上、個人消費は生存性消費から改善性、個性化、高品質消費へと変化している。金融・保険、医療・保健、教育・訓練(研修)、文化・娯楽、観光、介護などの多様なサービス消費が新たな需要の焦点となっている。今後5年で、中国の海外(域外)観光客は延べ6億人に達する見込みだ。今年、日本を訪れた中国人観光客はすでに400万人を超えており、皆さんは中国人の購買力を感じ取ったに違いない。

中日両国が手を携えて協力し、共に世界に目を向け、条件を一段と作り出すなら、われわれは一層広々とした空間を開拓することができる。例えば、中日と中日韓の自由貿易協定の早期締結、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の開放協力と相互融合を積極的に後押しする。中日はこの地域の責任ある国として当然、一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)建設の中で連携・協力し、一層重要な促進的役割を果たすべきである。交通、エネルギー、通信などのインフラの相互接続(コネクティビティー)であれ、貿易、投資、産業、金融協力であれ、中日企業が妨害を排し、国際的な生産能力協力を積極的に追求できるなら、より大きな第3国市場を開拓することになろう。両国の経済界もG20の枠組みが重大な国際経済問題の効果的な協調・解決プラットホームとなるよう共に後押しし、国際経済問題の討論にアジアの企業リーダーの関心と声をより多く反映させることができる。このほか、両国の企業もグローバルな金融システム改革、貿易・投資制度の取り決め、エネルギー・資源価格安定の仕組み、気候変動への対応、環境保護の強化、海洋の共同開発などの重大な世界的問題について協調と意思疎通を強化し、国際経済新秩序の完備のために貢献することができる。

紳士淑女の皆さん、友人の皆さん

中日友好の基礎は民間にあり、中日関係の前途は両国人民の手の中にあります。両国は協力して歴史の新たなスタート地点に立ち、中日の商工界は手を携えて前進し、協力深化、革新駆動、平和的発展の明るい前途を共に追求し、歴史に逆行する行為を阻止して、互恵・ウィンウィンの次の段階の「黄金期」を切り開くよう努力する必要があります。「物事は長い目で見るのがよい」。チャンスはそのことが分かる人にだけ訪れます。中日企業家及び元政府高官対話というプラットホーム(場)を生かし、高所大所に立ち、信用を増して疑念を解消し、小異を残して大同に付き、協力を促進し、両国の平和と発展を実現するために新たな一層大きな貢献をしようではありませんか。そして両国人民の代々の友好をつないでいきましょう。

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