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程永華大使の中国政経懇談会における講演
2015/06/26

    6月19日、駐日本大使程永華は招きにより中国政経懇談会でスピーチした。全文は下記のとおりです。

    こんにちは。中国政経懇談会の友人たちと意見交換する機会に恵まれたことを大変嬉しく思っています。中政懇は1977年の発足以来、中国の状況を熱心に理解し、中国の発展に関心を寄せており、この38年間、毎年訪中団を組織して、中日友好交流に積極的に参加、これを推進し、双方の相互理解増進に重要な役割を果たしてきました。中国側は中政懇との付き合いを非常に重視し、駐日中国大使館も皆さんと密接な意思疎通・交流を続けています。私は中政懇で講演した5人目の駐日中国大使だそうですが、非常に光栄に思っています。

    今世紀最初の10年間、中日関係は曲折を経ながらも、全体として健全で安定した発展をとげました。双方は4番目の政治文書に調印して、中日が「互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」、「互いに相手の平和的な発展を支持する」ことを規定し、新しい世紀の中日関係について明確な位置づけをしました。しかし残念なことに、次の20年を迎えた後、日本側が領土、歴史などの問題を引き起こしたため、中日関係は破壊され、一度は国交正常化後最も厳しい局面に陥り、双方の政治や安全保障の相互信頼もどん底に落ちました。私は2010年から駐日大使を務め、それ以前も日本での留学、勤務は20年を超えていますが、今回の大使赴任にあたって強く感じたのは、▽「中国の発展は日本にとってチャンス」と主張する声が少ない▽中国の発展に対する懸念、警戒が多く、「中国の脅威」がメディアの中国報道の「主旋律」になっている―ということでした。率直に言って、ここ数年の日本国内の中国関連の世論は中国の真実の状況を反映していない、と私は考えています。この機会を借りて、中国の発展、防衛・安全保障政策と南海問題及び中日関係について見解を述べ、皆さんと意見を交換したいと思います。

    一、中国の平和的発展について

    近年、中国は急速な発展を続け、世界第二の経済体、第一の輸出国及び世界最大の新興市場になると同時に、地域・国際問題に積極的に参加し、建設的で責任ある大国の役割を果たしています。中国の発展の成果が世界的に注目される一方で、中国の発展に対するいくつかの懸念も生じていますが、これまで中国の政府と指導者はさまざまの重要な場で、何度も中国の発展の道筋について、「中国は平和的な発展の道を揺るぎなく歩み、世界の平和を守ることによって自国の発展をはかり、また自らの発展によって世界の平和を守る」と厳かに表明しています。これは、中国の行方に強い関心をもつ国際社会への回答であるとともに、歴史と現実、将来に基づく私たちの戦略的な選択でもあるのです。

    歴史について言えば、平和は中華民族の最も深い精神的欲求です。早くも2千年前の春秋時代に、中国人は「国大なりと言えども戦〈いくさ〉を好めば必ず亡ぶ」〈即ち国が大きくても、戦争を好めば必ず滅びる〉という古訓を残しています。西洋諸国の地理大発見に先立ち、明代の鄭和は2万人を超える船団を率いて七〈なな〉たび西洋に下り、最も遠いところではアフリカ東海岸と紅海沿岸にまで達しました。しかしこの海のシルクロードに他国を植民地にしたり侵略したりした記録は残していません。私のマレーシア大使在任中、地元の人々は、ポルトガル人がマレーに来て残したのは大砲や廃墟で、鄭和の船団が残したのは食糧と磁器だったと話していました。近代以降、中国はさんざん列強の侵略と侮りを受け、その記憶が骨身にしみています。したがって私たちは誰よりも平和の重要性をよく知っており、自ら経験した苦しみを他人になめさせることも決してありません。

    現実について言えば、中国はいま「二つの百年」という奮闘目標の実現に力を尽くしています。即ち〈中国共産党創立100周年にあたる〉2020年の国内総生産と都市・農村住民の1人当たり所得を2010年の2倍にし、〈わりあいゆとりのある〉小康社会を全面的に完成させ、〈新中国成立100周年にあたる〉今世紀中葉までに、富強の、民主化、文明化した、調和のとれた近代的社会主義国家を完成させるのです。かなりの長期間、中国は依然として世界最大の発展途上国で、1人当たりGDPは日本の5分の1にも満たず、「二つの百年」の目標を実現し、13億人余りの生活のレベルと質を高めるには、並々ならぬ努力を払う必要があります。これにはとどのつまり、調和がとれて、安定した国内環境と平和で安らかな国際環境が必要で、いかなる混乱や戦争も中国人民の根本的利益に合致しません。

    将来について言えば、世界の潮流は平和、発展、協力、ウィンウィンであり、「国が強大になれば必ず覇権を求める」という古い論理はとうに通用しなくなり、冷戦思考と「ゼロサム」ゲームも時代遅れになっています。グローバル化と地域統合がたえず深まるのに伴って、私たちは自国の利益を世界の利益としっかり結びつけてはじめて、中国の発展に持続可能性をもたせられることをよく知るようになっています。そこで私たちは「親善、誠実、互恵、包摂」に基づく周辺外交の理念を打ち出すとともに、それに「一帯一路」〈即ちシルクロード経済ベルトと21世紀の海上シルクロード〉建設の積極的推進やアジアインフラ投資銀行の設立など、充実した中身を付与しています。そして世界各国が互いに尊重し、平等に遇し、共に運命共同体をめざすことを提唱しているのです。

    中国の急速な発展に伴い、日本側はさまざまの場で、中国が責任ある大国になるようとの希望を出していますが、中国が実際行動で自らの国際的責任と義務を担うため、責任ある大国の姿勢によって重大な国際・地域協力の提唱をした時、同じように地域の重要な国である日本が、これに積極的に応え、共に地域に貢献するのか、それとも手を束ねて傍観しはては妨害、攪乱するかには、中国の発展に対する日本の真実の態度が現れます。中国は平和的発展、互恵・ウィンウィンを貫いており、私たちは日本を含む世界の各国が中国と一緒に平和的発展の道を歩むよう心から希望し、また世界各国との互恵協力を全方位で強化したいと考えています。私は、中国の発展は過去にも日本の脅威とならなかったし、今後もなることはなく、逆に日本を含む世界各国に重要なチャンスを与えることをますます多くの人が認識するようになると信じています。日本の各界がもっと客観的、全面的な目で中国を観察し、真実の、多面的な中国を発見し、認識されるよう期待致します。

    二、防衛・安全保障政策と南海問題

    改革・開放後の中国は経済の急速な発展を実現し、これを基礎に私たちは経済発展水準に即応した国防の整備を進めました。中国は発展途上の大国で、外部では私たちの一挙一動に強い関心を寄せ、懸念も抱いています。ここでいくつかの角度からこれについて説明したいと思います。まず、中国には2万㌔の陸地国境、1万8000㌔の海岸線があり、もしも近代的な軍隊がなければ、国土の安全はお話にならず、まして平和的な発展はお話になりません。しかし中国が軍事力を発展させるのは、覇権を争奪し、対外拡張を進めるためではなく、国を守るためなのです。第二に、中国は新しい安全保障観を提唱し、共同の、総合的な、協力による、持続可能な安全保障の実現を主張しており、その重要な意義は冷戦思考を超え、同盟による対決で安全保障を求める思想を捨てることにあります。1990年以降、中国は延べ3万人の平和維持部隊をPKO活動に参加させました。2008年末以降、中国は20次、延べ57隻の艦艇をアデン湾、ソマリア沖に相次いで派遣して護衛任務を遂行し、合計で6000隻を超える各国船舶の安全を守りました。第三に、軍事の透明性問題はずっと一部の人が「中国の脅威」を喧伝する口実にされてきましたが、実際中国の軍事透明性がたえず向上していることは、国際社会で誰の目にも明らかなところです。中国は「国連軍事支出報告制度」や「国連軍備登録制度(UNRCA)」などの軍事透明性メカニズムに参加するとともに、国防部報道官の設置、国防部サイトの開設、外国人記者による見学・取材の実施などの方法でたえず透明性を高めています。今年5月26日には「中国の軍事戦略」とする新しい国防白書を発表し、今週、国防部外事弁公室の耿雁生報道局長が来日してこれについて説明したばかりです。

    最近、日本の一部要人とメディアは南海問題にかこつけて「中国脅威」論をふりまき、中国の「力による現状変更」を非難しています。私はかつて日本のメディアで、一部メディアの南海問題報道は偏っており、フィリピン、ベトナムなどの主張だけを伝えていると指摘するとともに、南海問題の背景と関係する事実を詳細に紹介しましたが、この機会を借りて皆さんにも簡単に説明したいと思います。

    歴史的経緯についてみれば、中国による南海諸島の最も早い発見は漢王朝に遡り、唐代からは南海諸島管轄の行政機構を置きました。第二次大戦中、日本が中国の西沙、南沙群島を占領しましたが、敗戦・降伏後、「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」などの文書に基づいて、中国がこれらの島や岩礁に対する主権行使を回復し、1946年に現地で接収しました。1947年、中国政府は南海諸島のすべての島・岩礁、砂州計159に改めて命名し、公表・実施しました。ベトナムは1975年以前の公式文書で、南沙群島に対する中国の領土主権を明確に認めていました。米国はスペインからフィリピンの植民地支配権を取得するにあたり、1898年と1900年にそれぞれ条約に調印して、フィリピンの領土の範囲を明確に画定しましたが、その中に南沙群島は含まれていません。1953年のフィリピン憲法と1952年の「比米軍事同盟条約」などの条約はこのことをさらに確認しています。マレーシアも1978年以前、中国の南海における主権にいかなる異議をとなえたこともありません。

    係争の事実についてみれば、1970年代、関係国が中国国内の政治的混乱に乗じて関係島嶼を占拠したのが、南沙の主権係争の発端です。公開された資料によると、長期にわたり、フィリピン、ベトナムなどは不法占領した南沙の島・岩礁で大量の埋め立て工事を行うほか、飛行場や軍事施設を建設し、高射砲、カノン、榴弾砲、戦車、対戦車・対艦ミサイル、武装ヘリなどの装備を配置してきました。今日でも、島や岩礁に施設をつくるフィリピン・ベトナムなどの活動は依然として続けられています。日本の一部メディアはこれらの事実には一言も触れず、中国が現在進めている島・岩礁整備を不当に非難し、「大国の小国いじめ」と言っていますが、これは明らかにダブルスタンダードであり、客観的で公正な立場にたっておらず、日本社会で重大な誤解を招いています。

    現実の必要についてみれば、日本はいつも、南海の航行の自由に強い関心を寄せていると言いますが、実際には中国のエネルギー貿易の80%は南海経由で、中国は他のどの国よりも南海の航行の自由と安全を重視しているのです。2013年、習近平主席はインドネシア訪問の際、21世紀の海上シルクロード共同建設を提唱しましたが、南海はまさにその中の重要な一部分なのです。中国が南沙で島や岩礁の整備を進めるのは、主に駐屯要員の作業と生活の条件を改善するためで、同時に海上捜索・救助、防災・減災、海洋研究、気象観測、生態系・環境保護、航行安全、漁業生産などの面での国際的責任と義務をよりよく果たすためでもあります。中国はすでにASEAN諸国と「南海各国行動宣言」に調印し、また「東南アジア友好協力条約」にも加入しています。そして関係当事国との交渉または協議を通じて、意見の食い違いや紛争を平和的に解決すること、武力に訴えたり武力で脅したりしないことを約束しています。中国はASEAN諸国と共に、南海の平和・安定を守ることを願っているのです。

    三、中日関係について

    最後に、本日最初に申し上げた話題に戻り、日本の対中認識と意識の変遷について少し見解を述べたいと思います。中日関係は世界で最も複雑な二国間関係の一つです。中日は地理的に近く、往来の歴史が長く、長期にわたって両国人民は互いに学び、参考にし、共に漢字を使ってきました。このことが両国国民に親近感を与える一方で、双方とも相手の理解が得られることに、他の国よりも高い期待感を抱くようになりました。〈つまり両国は他の国々よりもお互いに理解しあえるはずだというのです〉。しかし実際には、中日の社会制度、価値観、経済・社会発展水準には大きな違いがあり、そのうえ両国関係はいま過渡期と摺り合わせ〈あるいは慣らし〉の時期を経つつあり、過去のもめごとや現実の利害の食い違いが交じり合っています。その結果、近年両国関係は立て続けに挫折を経験し、政治と安全保障の相互信頼が著しく欠如するようになりました。他方、私たちは中日関係のファンダメンタルズを軽視すべきではありません。国交正常化後43年間、中日間の貿易額は300倍以上になり、人の往来は500倍以上になりましたが、こうした成果は世界のどの国の二国間関係でもあまり見られないものです。

    目下中日両国の利害関係は日増しに強まり、相互依存はたえず深まっています。そして古い冷戦思考は中日間の食い違いと対立を深めるだけです。両国関係はゼロサムゲームではなく、またそうなるべきではありません。中国は中日関係を重視しており、中日の戦略的互恵関係の前進をはかる政策がその時々の事情によって変わることはありません。近年の中日関係における波乱を振り返ると、釣魚島問題にせよ、歴史や靖国神社の問題にせよ、中国が引き起こしたものは一つもありません。中国が関連の措置をとったのはすべて、領土主権や民族感情が損なわれたことに対するしかるべき反応だったのです。昨年11月中日双方が中日関係の処理と改善について4項目の原則的共通認識を得たことで、両国関係が正しい軌道に戻るだけでなく、双方の相互信頼を再構築するための条件がつくられました。憂慮されるのは、最近日本の一部の人がわざとマイナスの対中認識を社会全体に拡大し、はては国内の政治目標のために、故意に「中国の脅威」を利用し、喧伝していることです。これは極めて誤った、有害なもので、中日関係を損ない、両国のもろい政治・安全保障の相互信頼を揺さぶるだけでなく、日本の平和的発展の方向を揺るがし、地域の平和と安定に影響しかねません。

    中日関係の前途を展望すれば、双方は四つの政治文書の原点に立ち返り、相互に正しい戦略的位置づけをし、互いに脅威ではなくパートナーとみなし、挑戦ではなくチャンスとみなし、相互に平和的な発展を支持すべきです。そして本当に、上に述べた重要な共通認識を確実に実行に移し、それを両国社会の幅広い共通認識に変えて、戦略的相互信頼の増強を基礎に、両国関係の長期的、健全で、安定した発展を実現できるようにすべきです。習近平主席が中日友好交流大会での演説で、「中国は日本と共に平和的発展を促し、共に代々の友好をはかり、共に両国のすばらしい未来を開くことを願っている」と指摘した通りです。私たちは日本側も同じ態度をとり、本当に中国の発展をチャンスとみなし、中国と互恵・ウィンウィン、共同の発展を実現するよう希望しています。

    中日関係の改善と発展には各界の有識者の配慮と支持が欠かせません。中政懇は日本の各界に幅広い影響をもっており、私は本日の講演をきっかけに、駐日中国大使館と中政懇の交流関係が一段と深まるよう希望し、同時に会員各位が強みを生かし、少しでも両国の友好交流と互恵・協力に役立つことをされ、両国関係の改善・発展にお力添え下さるよう期待しております。

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