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王毅大使と御手洗・日本経団連会長の対談
2007/04/08
――日中両国は共に長い歴史を持つ隣国です。過去の交流の歴史を文化、政治、経済の面からどのように評価しますか。  王大使 今年は日中国交正常化35周年であると同時に、それ以外にも二つのフェースがあります。一つは遣隋使の派遣から1400年。もう一つは盧溝橋事件から70年です。1400年前の遣隋使は日本と中国の文化、政治、経済の大交流を切り開きました。空海さんも当時の留学僧の一人でした。中国から帰ってきた空海さんが最初に日本の土を踏んだ長崎県の福江島を私も訪れたことがありますが、そこに空海が書いた「虚往実帰」の4文字が書かれた石碑が建っています。実りを持って帰ってこられた空海さんの心境を如実に表していると思います。  一方、明治維新後、日本は率先して先進近代文明を取り入れた国になりました。今度は中国から志のある若い人がそれを学ぶために大勢日本に赴きました。日本と中国はお互いに学びあう伝統があったのです。  もちろん中国が侵略され、中国国民に甚大な災難をもたらした一時期もありましたから、私はこの友好交流の伝統を継承しつつ、悲惨な教訓に学び、歴史をかがみにして未来を開いていくことが中日関係の正しい姿ではないかと考えています。  御手洗会長 今、大使が言われたとおりなんですね。日本の文明への中国の影響は大変大きなものがあります。両国は文化や人の交流が長い時代続き、お互いに切っても切れない重要な隣国と位置づけられてきました。大使も言われたような不幸な時代もありましたが、国交正常後の35年間を振り返って見ると、経済交流は年々拡大して、日本にとって中国はアジア最大の貿易国としてなくてはならないパートナーになっています。  中国の経済発展は日本経済にも有益で、ともに手を携えて経済発展していく時代に入っています。お互い重要な隣国としてこれからも互恵的に発展するには、さらに交流を深めていかねばなりません。そのためには、お互いの国同士のさらなる理解が重要です。35周年の交流年をぜひ成功させたいと思っています。  ――中国の経済発展に伴って、両国の経済交流はますます深まりを見せています。経済の面での両国の交流はどのように進めるべきだとお考えですか。  王大使 中国の改革開放政策に対し、日本は率先して支援の手をさしのべてくれました。ODA(政府開発援助)はじめいろいろな分野で日中協力が進められ、我々はそれに感謝の意を持っています。また「中国特需」との言葉で言われているように、日本の景気回復に中国の活力が役立ちました。このように日本と中国の経済関係は相互依存の時代に入っています。  相互依存の特徴の一つは、補完しあうということです。日中間の物資の交流の8割以上はお互いに必要としているものです。2割ぐらいは若干の競争はありますが、いずれも良性的なものです。二つ目の特徴は、利益共同体になりつつあることです。2000億米ドルの貿易額の半分以上は実は中国に進出している日系企業と日本との間の貿易です。  私はこれからの日中の経済関係の方向性は三つあると思っています。まずは量から質へということ。量の増加はこれからも続きますが、同時に質の向上がもっと求められています。二つ目は製造業からサービス業への転換です。製造業はこれからも大きなウエートを占めますが、第3次産業の協力が大いに期待されます。三つ目は大企業から中小企業へ、です。大企業は引き続き中心的な役割を果たしますが、同時にそろそろ中小企業の出番ではないでしょうか。中国政府はじめ地方政府までも、中小企業の誘致に積極的に動いています。それにふさわしい政策を練っている最中です。  中国経済が今抱えている諸問題はほとんど日本が経験されたことです。ですから大いに日本の経験を学んでいくことができます。例えば、中国は経済成長のパターンを変えようとしています。エネルギー節約型、環境保護型、循環型にシフトしていく。そうなると省エネと環境保護が大変重要な分野になります。この分野で日本は世界で一番進んだ技術を持っている。ですから環境での協力はこれから大いに伸びていくでしょう。そこには大きな潜在力とマーケットが存在すると思っています。  ――経済の関係について、会長はいかがですか。  御手洗会長 日本と中国は切っても切れない関係にあります。中国はこの4年間、連続10%の成長を遂げています。国民1人当たりの所得は5年間で2000ドルと倍くらいになっている。そりゃもう大変なスピードで発展しているわけで、その発展の中で日本の協力してきたものも大変大きい。  これからさらに大きな発展を遂げると思われますが、中国の第11次5カ年計画を見ますと、その目標はやはり調和のある経済発展をしようということがうたわれている。要するに、環境を守るとか、環境と調和した発展のあり方です。その面では、日本は戦後いろいろ経験してきたわけですね。公害に悩まされて、川が汚れたり、水俣病も経験して、そういう苦しみを克服してこんにちの環境や省エネの技術を確立してきたわけです。  中国がこれから第11次5カ年計画を実行していく上で、日本が協力できることがいっぱいあると思うんですね。そのことがまた両国の互恵的発展により役立つと。公害問題一つとっても、空がつながっていて、海もつながっているわけですから、お互いの共通の課題として協力しながら、日本の知見を生かして解決し、それらが日中の新しいビジネスにも発展することを期待します。  ――会長は「互恵的な協力」が日中のキーワードだと。  御手洗会長 そう思います。  ――次に政治のことをうかがいます。微妙な問題もあると思いますが、政治の交流は経済に比べて後れをとってきた面がありますが、今後の政治交流のあり方についてはどうお考えですか。  王大使 中国と日本は、一衣帯水の隣国で、引っ越しもできませんから、仲良くしていくのが双方にとって唯一の正しい選択です。そのためには、一つには隣人としての付き合い方、隣人である以上、お互いに尊重し、お互いに配慮し合う、相手の心が傷つくようなことはできるだけ避ける、それが隣人の付き合い方ではないかと思います。二つ目は、お互いに約束を守るということです。まさに35年前の国交正常化の時期に、周恩来首相は田中角栄首相に「言ったことを必ず実行する」と言葉を贈ったんですね。それに対して田中首相が「信は万事のもと」と返して、お互い手を握って、日中の新しい時代を切り開いたんです。ですから約束を守っていくことが重要です。三つ目は、常に話し合って理解を深めていくこと。中国はどんどん変化して進歩しています。日本もいろいろな改革を進められています。常に新たな相互理解が求められているのです。  最後に信頼関係の構築です。国と国の関係は、人間関係と同じ。お互いを信頼し合って初めてスムーズに行くのですから、とても重要です。 ――御手洗会長は経済界の代表として、政治についてどうお考えですか。  御手洗会長 日中間は、昨年10月に安倍首相が中国を訪問して大きく開けた、大きな交流が始まったと思います。そのおかげで今度の日中友好の文化・スポーツ交流年がスタートしました。私も今回、スタートウイークに中国を訪れまして、温家宝首相にもお会いした。温首相は「交流年を絶対に成功させたい」と非常に大きな期待をこめておられました。それは政治ルートとともに、国民ベースの交流を進めることによって、さらに経済的、政治的な関係も深めていきたいという期待が込められていると感じました。  11日に温首相が来日される。心から歓迎するととともに、できれば胡錦濤国家主席も早いうちに日本にお招きしたい。そしてトップ同士がいつでも話し合える、交流ができる状態になることが一番大事で、そうなれば政府同士もさまざまな課題についてじっくりと交渉できる。また経済も安定した政治基盤の上でお互いに腰をすえて協力しあえると思います。私も日中文化・スポーツ交流年の実行委員長でもありますので、期待しているんです。温首相とお会いした際、「文化は長期的なものである。その文化の背後には心がある。心と心の交流が大事なんだ」とおっしゃったのが、とても印象に残っています。 ――御手洗会長がおっしゃった文化・スポーツ交流年に寄せる期待を、王大使にお聞きします。  王大使 ええ、文化というのはまさに国民の心を結んでいく、大事なきずなですよね。特に日本と中国の間の文化交流においては、いろいろ便利な点がある。お互いに漢字を使っているという親近感もそうです。例えば三国志といえば諸葛孔明を言う。西遊記といえば孫悟空が浮かんでくる。奈良といえば、中国の西安を連想する。まさにこうしたことは他の国との間ではないことです。  一方、日本からも茶道、華道とか、あるいは近代になってカラオケ、さらにアニメですね。これらはいずれも中国国民が受け入れやすい外の文化です。ですから私は文化交流は大いにやれると思っています。現に、毎年日本において中国の芸術的な公演は1000回以上あり、展示会は5000回以上もあるという統計もあります。ぜひこういう勢いを保っていきたい。  スポーツ交流でも助けあってきたんですよ。例えば50年代のころ、ピンポンはずいぶん日本のみなさんから支援を受けたんです。今は中国のピンポンはとても強いですから、今度は、福原愛ちゃんのように小さいころから中国に留学して中国人のコーチにつき、中国語もよく話せます。まさに助け合いの典型的な例です。  中国では今、スキーブームが起き始めています。日本には600以上もスキー場があり、僕が聞いたところでは、米国より多い。中国のスキー人口は増える一方で、これからどんどん日本に入ってくると思います。今回、御手洗会長が自ら交流年実行委員会の責任者になっていただいて、心強い。大使館も側面から支援したい。  御手洗会長 私も期待を持てると思います。3月13日に北京で行われたスーパーライブでは、会場が若者で満員になり大変だったようです。親善大使の福原愛さんと酒井法子さんを連れて安倍首相にあいさつにいきましたが、2人とも中国で人気があり、広く受け入れられているんですね。中国の若者たちの日本への関心はとても深いそうです。  温家宝首相の来日の後も、9月から12月にかけて大きなイベントがあるので、それを有意義なものにしたい。若いジェネレーション同士の感性というか、若者同士の相互理解が将来の両国関係に大事です。私は全力投球で交流促進に努めていくつもりです。 ――2008年は北京五輪、2010年には上海万博が予定されています。五輪と万博に関する日中協力は、どうあるべきだとお考えですか。  王大使 五輪については、河野洋平衆院議長をはじめ、国会議員の先生方が超党派で支援する議員の会議を作ってくれた。すばらしいことです。64年の東京五輪が日本の発展にとって象徴的だったように、北京五輪は中国の未来に重要です。北京五輪のキャッチフレーズは、「世界は一つ、夢は同じ」です。まずアジアの祭典にしようではありませんか。アジアのスポーツ大国の日本は国民の関心も高いので、ぜひ日中の協力を強めたいと期待しています。  上海万博についても、同じように、上海万博協力議員連盟を、高村(正彦元外相)先生をはじめ支援する先生方が作ってくれた。愛知万博の経験を上海に生かしたいと。われわれはもちろんそれを歓迎します。上海の万博の趣旨は、人間と自然の調和、人間と社会の調和、歴史と未来の調和で、愛知万博の理念に通じます。  御手洗会長 北京五輪は東京、ソウルに続いてアジアで3回目の五輪で、非常に大きなイベントです。中国の発展を世界にアピールする機会にもなります。経済界はスポーツに関しては、縁の下の力持ちとして大いに協力したい。上海万博も中国のすばらしい経済発展をアピールすることになります。われわれ経済界も大いに協力し、また、それを活用したいと思います。 ――国交回復35年を機に、日中関係が新たな飛躍をするための方策はありますか。  王大使 温家宝首相が中国首相として7年ぶりに日本に参ります。重要な意義があると思います。安倍首相は昨年10月、日中関係打開のための旅を行いました。この旅が中日両国民をはじめ、アジア、国際社会から好評を得た「氷を砕く旅」だったとすれば、今度は「砕いた氷を解かしていく旅」となります。温首相自らがそう位置づけています。それは中国の積極的な姿勢と誠意を表しています。この旅によって、中日関係を安定軌道に乗せ、解かした氷を大きな流れ、逆戻りできない流れにしていきたいと思います。  最も重要なのは、それぞれ和平発展の道を貫き、お互いを脅威とみなさず、協力のパートナーであることを国民的コンセンサスにしていくことです。次に、両国間の摩擦を処理して、相手の関心にできるだけ配慮することです。こうしていけば、中日関係は好循環になるでしょう。もう一つは、中日が手を携えて新しいアジアを作っていくこと。このことがまさに戦略的な新しい共通利益になるのです。  御手洗会長 今は政治的な障害が外れ、オープンになった時期です。これを拡大させたい。また、発展し続けている経済を逆戻りさせず、隣国同士が永遠の協力関係を築くためには国民的ベースでの理解が必要です。今回の交流年をきっかけにして、交流年を1年で終わらせることなく、例えば留学生の交流や社会貢献する人を増やすなど、国民ベースでの理解を深める努力を続けていかなければなりません。 (2007/04/08, 毎日新聞 朝刊)
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